マエストロ文学

第七章:齟齬

そう思った瞬間、彼は気づいた。

ヒロディの放つ、妙な威圧感に。

森の中で出会ったとき、彼を怖がるようなことはなかった。

それが今では、ヒロディの威圧感に耐えられず、おびえている自分がいる。

それがもはや人間ではなくなった自分が余裕を失ったからだとふと思った。



意識したらもう止まらなかった。

自分は…

もう…

人間じゃない…



そんな恐怖が彼の身体を、そして意識を支配した。

演奏の変わりに、地響きのような振動が彼を襲う。


そして彼は…



自分の身体が変わっていくのをただただ見つめることしか出来なかった…



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