ブック11

〜植物〜

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◆ 曼珠沙華 彼岸花 ◆
9》植物



つきぬけて天上の紺曼珠沙華    山口誓子



まんじゆさげ暮れてそのさきもう見えぬ      大野林火



曼珠沙華竹林に燃え移りをり   野見山朱鳥



曼珠沙華忘れゐるとも野に赤し   野澤節子



曼珠沙華入日の中に燠(おき)となり        鷹羽狩行



西国の畦曼珠沙華曼珠沙華     森 澄雄



彼岸花忌みてはみれど美しく    河野南畦



うつりきてお彼岸花の花ざかり  種田山頭火



すうと出て曼珠沙華の蕾竹の根に  北原白秋



すこしだけこの世華やぐ曼珠沙華  後藤 洋



すでに旅始まつてをり曼珠沙華  加藤瑠璃子



たがへずに曼珠沙華咲き草の庵   後藤夜半



まへがきもあとがきもなし曼珠沙華        黛まどか



わが生は阿修羅に似たり曼珠沙華  角川春樹



われにつきゐしサタン離れぬ曼珠沙華       杉田久女



キヤデイこの麓の農婦曼珠沙華   車谷 弘



ダム開くや吹きすさぶ白彼岸花   澁谷 道



バス降りて徒歩で十分曼珠沙華   河村玲波



一夜にて火の手のあがる彼岸花  伊丹三樹彦



一村を興さんと燃え曼珠沙華    井沢正江



一駅も旅に似しかな曼珠沙華    青木千秋



人を泣かせ己れも泣いて曼珠沙華        鈴木真砂女



今はもう飛びこせぬ溝曼珠沙華   星野明世



仏より痩せて哀れや曼珠沙華  夏目漱石(43)



他の花は世になきごとし曼珠沙華        橋本美代子



大いなる秋の入日や曼珠沙華    原 月舟



大雨に朱の糸くづさず曼珠沙華        阿部みどり女



天つ日や臥牛に炎ゆる曼珠沙華   渡邊水巴



川岐れ風別れゆく曼珠沙華     荒井書子



工場はタオル靴下曼珠沙華     佐藤春夫



昔へも行けそうな橋彼岸花    西尾千佳子



曼珠沙華あつけらかんと道の端   夏目漱石



曼珠沙華けふ衰へぬ花をこぞり  橋本多佳子



曼珠沙華ひとりが踏んで径なす   石川桂郎



曼珠沙華咲けば悲願の如く折る  橋本多佳子



曼珠沙華安心の葉の出でにけり   岡本 眸



曼珠沙華抱くほどとれど母恋し   中村汀女



曼珠沙華早稲をかけたる日おもてに 木津柳芽



曼珠沙華暮るるに早きへんろ道  尾亀清四郎



曼珠沙華沼に月光ひろがりぬ    中田 剛



曼珠沙華無月の客に踏れけり    前田普羅



曼珠沙華茎見えそろふ盛りかな   飯田蛇笏



曼珠沙華蘂の先まで蟻ゆかしむ  橋本美代子



蛇穴に入る時曼珠沙華赤し     正岡子規



霧の香にしんじつあかき曼珠沙華  飯田蛇笏



新しき地蔵の前掛けまんじゅさげ  高澤良一



むらがりていよいよ寂しひがんばな 日野草城



 
〜彼岸花〜より私の好きな季語と私の俳句
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