ブック11

天文・地理

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◆ 天高し ◆
8910》天文



天高し預けし牛に逢いに来る    田丸踏青



待つだけに使ふ一日天高し     望月一美



竹とんぼ返してくれず天高し    八染藍子



子の神輿大人が揉んで天高し    細川加賀



天高し俄か庭師の鋏音      小泉はつゑ



弓なりに潮引く浜や天高し     高橋光江



天高し組体操の旗あがる     柳瀬都津子



天高し煙草を吹かす癌患者     仙田洋子



石あれば腰を下ろして天高し    村越化石



 
◆ 秋夕焼 ◆



牛減りて残る曲屋秋夕焼      清水寥人



秋夕焼風紋つねに影あたらし   鷲谷七菜子



鳩小屋に秋夕焼を賜はりぬ     石田波郷



校歌まだ歌えるふしぎ秋夕焼    渡邊禎子



ニツポニア・ニツポンに染む秋夕焼 仙田洋子



秋夕焼不二の黒さを残しけり    三木十柿



仏壇ある家の奥まで秋夕焼    柴田白葉女



鷺たかし秋夕焼に透きとほり   軽部烏頭子



秋夕焼旅愁といはむには淡し    富安風生



渤海の秋夕焼やすじをはる     加藤楸邨



秋霖の夕焼ほのと飛燕見ゆ     西島麦南



看取りにも終る日のあり秋夕焼  今井千鶴子



もう一度呼ばれて帰る秋夕焼    二村典子



俤も秋夕焼にいろどられ      加藤楸邨



秋夕焼燈もて応ふる淡路島     宮津昭彦



 
◆ 秋の雷 ◆



秋の雷つぶやきに似て鳴り終る   三浦ゆう



うき草にむらさきはしる秋の雷  篠田悌二郎



船中の寝覚に聞くや秋の雷     村上鬼城



船を押す海人の屈強秋の雷    野見山朱鳥



木鋏の縁にひびきて秋の雷     山口誓子



秋の雷海びしびしと打ち据ゑて  樫村安津女



羽の色盗まれし鳥秋の雷      対馬康子



秋の雷澎湃と巌湧くごとし     加藤楸邨



青空とせめぎ合ふなり秋の雷    宮津昭彦



 
〜天高し 秋夕焼 秋の雷〜より私の好きな季語と私の俳句
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