6/10ﾍﾟｰｼﾞ目 ◆ 三伏 ◆ ７８》時候 初伏 中伏 末伏 三伏の地獄めぐりの旗もたされ 中原道夫 三伏の残照の川なに跳ねし 飴山 實 三伏や山羊の乳房のずっしりと 武田鏑心 三伏や連なりてゆくだるま船 上野澄江 三伏や時刻表なき渡し舟 飯島正人 三伏の闇はるかより露のこゑ 飯田龍太 三伏の琴きんきんと鳴らしけり 長谷川かな女 草や木や三伏の天垂れて燃ゆ 相馬遷子 三伏やしぼり雑巾棒乾き 赤松子 三伏の動かぬ雲と鬼瓦 中西しげ子 三伏や提げて重たき油鍋 鈴木真砂女 三伏の海に死ぬまで蝶舞へり 大谷碧雲居 三伏の夕べの星のともりけり 吉岡禅寺洞 三伏の闇の深川警察署 和田耕三郎 三伏の赤子の耳目かがやきぬ 田中裕明 三伏や見ゆる一眼大切に 日野草城 三伏の弱りに加持を頼みけり 筑紫磐井 三伏の火に煮つめたる薬召せ 筑紫磐井 三伏や七輪と炭調へて 中村雅樹 三伏や修理の塔は幌の中 松田和枝 入退院して三伏の薬づけ 宮澤富士男 三伏の酢を合はせゐる夕べかな 正部家一夫 三伏の月の小ささや焼ヶ嶽 飯田蛇笏 三伏や能登の揚浜釜火焚く 丸山哲郎 三伏の藪の中なる羽音かな 櫛原希伊子 三伏の月の穢に鳴く荒鵜かな 飯田蛇笏 三伏の白紙につつむ絵蝋燭 吉田汀史 三伏の酢をうつて飯かがやかす 坂間晴子 三伏の雨ふる松の鱗かな 岡本高明 三伏の肉のかたまり船へ運ぶ 吉田汀史 三伏や弱火を知らぬ中華鍋 鷹羽狩行 ◆ 炎暑 炎熱 ◆ ７８》時候 炎熱や勝利の如き地の明るさ 中村草田男 味噌倉の蔭に身を置く炎暑かな 渡部きん 熔接の火花無色となる炎暑 横溝やす子 屠殺場の一枚扉は開かれ炎暑 森 武司 頭の中すきまだらけの炎暑かな 鈴木八駛郎 白づくめ灯台立ちて炎暑来る 森田峠 急流にのめりてそそぐ炎暑かな 飯田龍太 牛の身の山越えてゆく炎暑かな 桂信子 殼子(さい)振るや炎暑のごとき我が行路 河野南畦 城跡と言へど炎暑の石ひとつ 大木あまり 乗り遅れしバス遠ざかる炎暑かな 野村洌子 排水のつまりし街の炎暑かな 小池龍渓子 千枚の田のしづけさの炎暑かな 橋本榮治 杜出れば炎熱地獄街歪む 吉原文音 炎熱の日々を過ごせり氷塊の やうなる孤独地獄とともに 江畑 實 炎熱を愛した頃のジンライム 櫂未知子 飛騨杉といふ杉山の炎暑かな 藤田あけ烏 ゴビ炎暑水なき蛇行あるばかり 水田むつみ 下北の首のあたりの炎暑かな 佐藤鬼房 あぢさゐに水の色失せ炎暑来ぬ 野澤節子 本土人としてくぐる炎暑の守礼の門 山田みづえ 薬草の湯に子を浸す炎暑かな 福田甲子雄 炎熱や癌の吾を俯仰天地に妻祈る 橋本夢道 原爆忌墓地炎熱の袋の中 橋本夢道 ～三伏 炎暑～より私の好きな季語と私の俳句 ご感想もよろしくお願いします。 [指定ﾍﾟｰｼﾞを開く] ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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