7月の例句集

〜時候〜

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◆ 七月 ◆
7》時候



七月の青嶺まぢかく熔鉱炉     山口誓子



七月の暑さとなりぬ麦を刈る    三谷美子



七月や目玉大きく合羽着て     松本文子



七月やひづめの音を奥山に      原 裕



七月の夜更けてよりもの見えだす  野澤節子



七月号としてルノアールの口絵  加倉井秋を



七月の蝌蚪(かと)が居りけり山の池        高浜虚子

※蝌蚪(かと)=おたまじゃくし



七月のつめたきスープ澄み透り   日野草城



七月の海真つ青な暦剥ぐ      玉田年春



七月の碧落にほふ日の出前    水原秋桜子

※碧落(へきらく)=青空・大空



七月の海峡ただよふ竹箒      横山房子



七月や方舟になき羅針盤      鈴木栄子



七月やシヨーウインドを渚とし  松室美千代



七月の切傷あまき血のにじむ    長山順子



七月といふ晩年の空のあり     櫂未知子



精霊とんぼ群れ飛ぶ世紀末七月  八木原祐計



七月や既にたのしき草の丈     日野草城



七月の赤がれ見ゆる芒山     冨田みのる



七月の海退屈に日が沈み     猿橋統流子



物一つ置かぬ円卓七月ヘ      村越化石



七月や雨脚を見て門司にあり    藤田湘子



七月やロダン立像漆黒に     石田あき子



夕月に七月の蝶のぼりけり     原 石鼎



七月の面暗しや返り梅雨      石塚友二



七月や林檎をシャワーもて洗ふ  皆吉 司



青田抜け水七月へまつしぐら    筑紫磐井



七月や壮年の樹に風はらみ     筑紫磐井



七月は水の落ち合ふ東京府     筑紫磐井



軍神も七月の足臭からめ      筑紫磐井



七月も十日過ぎたる雨の音    宇多喜代子



七月の光が重し蝶の翅      橋本多佳子



自転車を倒し七月匂いけり     和田悟朗



七月の雨瀟々の居職の窓      下村槐太



七月や冷してたまふ水ぐすり    石田波郷



七月の童糞せり道の上       石田波郷



七月の利久燈籠どこも濡れ     横山白虹



 
◆ 梅雨深し ◆
7》時候



御神馬も羽目板を蹴り梅雨長し 鍵和田ゆう子



カンテラが揺れ保線区の梅雨長し  西村和子

▲俳句画像.jpg



梅雨深し雨に濡れざる土を見て   飯田龍太



梅雨ながし静に燃ゆる白樺     前田普羅



やや晴れて来て梅雨深しとぞ思ふ 後藤比奈夫



誰の手にありし古書なる梅雨深し  有馬朗人



珈琲屋出て珈琲屋梅雨深し     辻 桃子



梅雨に倦み一人に倦みて父睡る   武田静子



梅雨深し帰宅せぬ子に灯を残す   恩田洋子



やぶれがさむらがり生ひぬ梅雨の中       水原秋桜子



山独活を折りしその香も梅雨ふかし 大島民郎



梅雨深し本の表紙の草木染     有馬朗人



梅雨ふかし隣の猫が鳴きに来て   奥野桐花



梅雨ふかし黍たうきびとたけ競ふ 篠田悌二郎



金魚田に茫々の梅雨到りけり    大橋敦子



已むを得ず日本に住みて梅雨深し  三橋敏雄



古宿にときに人ごゑ梅雨深し    岸田稚魚



水郷を更に鎮めて梅雨深し     藤浦昭代



梅雨深し煮返すものに生姜の香   草間時彦



冷蔵庫の未明の音や梅雨ふかく   行方克巳



 
〜七月 梅雨深し〜より私の好きな季語と私の俳句
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