1/9ﾍﾟｰｼﾞ目 ◆ 惜春 春惜しむ ① ◆ ５春夏》時候 春惜しむいのちを惜しむ酒惜しむ 結城昌治 春惜しむすなはち命惜しむなり 石塚友二 春惜しみ命惜しみて共にあり 星野立子 春惜しむ鉦とこそ聞け壬生念仏 安住 敦 惜春やまなぶた薄き麗子像 向笠和子 逆さ鐘撞いて近江の春惜しむ 加吉宗也 横穴の狩の壁画に春惜しむ 松本澄江 秀衡椀の沢瀉の朱に春惜しむ 沢木欣一 惜春の女に白き波がしら 本岡歌子 惜春の帯にはさみし句帖かな 高木美雪 春惜しむ酒気の人らが墓山に 岡本政雄 惜春の空すっぽりと空いてゐる 村上高悦 惜春の雷ぞ海彦統ぶる国 大西淳二 惜春の犬と目が合う車椅子 有馬英子 球体を陽のわたりけり春惜しむ 萩山栄一 身ばなれのよくて惜春の鰆とふ 能村登四郎 春惜しみつゝ地球儀をまはしけり 長谷川双魚 金欲しやしきりに欲しや春惜しむ 小林康治 春惜しむ奇術の鳩が二羽三羽 河野南畦 春惜しむとてや面は十とひとつ (高月町) 岸田稚魚 惜春の雄波もみあひ谺せり (喜屋武岬) 上村占魚 捨て焚きの磯火に寄りて春惜しむ 上村占魚 眼鏡橋阿片患者と春惜しむ 石原八束 仲見世の花かんざしに春惜しむ 石橋秀野 春惜しむ旅のひと日のこぬか雨 渡辺和子 見えぬ目に眼鏡をかけて春惜しむ 井上法彦 惜春や捨て去りしもの得たるもの 鈴木真砂女 春惜しむ亡き父母の部屋そのままに 山根きぬえ 春惜しむ深大寺蕎麦一すすり 皆吉爽雨 惜春やいつも静かに振舞ひて 星野立子 惜春のひとで渚に朱印押し 岩本尚子 惜春や暇を見つける暇のなく 大木涼子 還るべき星をたどりて春惜しむ 麻田すみえ 惜春の少年の子規セピア色 岩田佳世子 岳あふぐわが惜春のチロル帽 澤田緑生 春惜しむ白鳥の如き尿瓶持ち 秋元不死男 朴の実の漆黒に春惜しみけり 折井眞琴 あんぱんの葡萄の臍や春惜しむ 三好達治 手燭して庭ふむ人や春惜しむ 与謝蕪村 春惜しむカナリアの首上がり下がり 仙田洋子 惜春やすこしいやしき紫荊 松本たかし ※ 紫荊＝花蘇芳(はなずおう) 春惜しむ人にしきりに訪はれけり 夏目漱石 ◆ 春惜しむ ② ◆ 春惜しむおんすがたこそとこしなへ 水原秋桜子 惜春の座に一人の狂言師 高野素十 臍の緒を家のどこかに春惜しむ 矢島渚男 惜春のわれ内視鏡嚥まんとす 荒川あつし ※ 嚥(の)まんと 春惜しむ納蘇利の面ンは青丹さび 杉田久女 納蘇利(なそり) 惜春の吉野に過客たりしかな 佐土井智津子 惜春の人ら夕の水亭に 浅井青陽子 惜春の淡路島山うちけむり 田畑美穂女 春惜しむ歩みのいつか揃ひをり 西村和子 惜春の川とはならぬ流れかな 上田日差子 惜春や父の書斎に長居して 藺草慶子 春惜しむ同じ病を問ひ問はれ 福田蓼汀 惜春の妻を黒白にして撮す 吉館曹人 丹の欄にさへづる鳥も惜春譜 杉田久女 恋塚の碑文を写し春惜しむ 安成三郎 山吹や春惜しからむ谷の水 宗養 惜春やかくも長きを国手たり 近田千尋 礎石巨きこれに円柱惜春夢 山口青邨 惜春の席あたためてゐたるのみ 中原道夫 俳碑壁曼陀羅と見て春惜しむ 大橋宵火 ケンタッキーのおぢさんと春惜しみけり 辻 桃子 春惜しむ薬研に少し日を入れて 加藤 晃 窓明けて見ゆる限りの春惜しむ 高田蝶衣 ポスターの虚子先生と春惜しむ 大久保白村 春惜しみつつ風交のしづかにも 石原舟月 パスポート納め日本の春惜しむ 眞砂松韻 惜春の橋の畔といふところ 星野高士 頬に指春惜しまるゝ菩薩かな 宮本祐志 春惜しむほかはいつさい何もせず 中里麦外 惜春や山すみれなど花束に 松林朝蒼 伊吹見ゆ丘にのぼりて春惜しむ 近藤一鴻 ユトリロの絵に似し路地に春惜しむ 冨田みのる 山番と山を見廻り春惜しむ 影島智子 雨筋を見て春惜しむ大庇 町田しげき つづく [指定ﾍﾟｰｼﾞを開く] ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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