1/9ﾍﾟｰｼﾞ目 ◆ 薔薇① ◆ ５６夏》植物 かくれ泣く妻が肩見ゆ白薔薇 有働 亨 さそはれて長崎遠し薔薇を挿す 大島民郎 なにごとか薔薇につぶやき薔薇を剪る 黒田杏子 にちりんにひゞきてとべる薔薇の蟲 飯田蛇笏 ぬれいろに夜昼となく緋薔薇さく 飯田蛇笏 ひえびえと緑金ひかる薔薇の虫 飯田蛇笏 ひと拗ねてものいはず白き薔薇となる 日野草城 ほとゝぎす山家も薔薇の垣を結ふ 川端茅舎 やはらかに月光のさす白薔薇 飯田蛇笏 ゆるゆると日傘おちゆく薔薇のとき 久保純夫 わがホ句にせめて野薔薇の香もあれな 日野草城 タイピストコップに薔薇をひらかしむ 日野草城 ダンディーな蜂が薔薇より這ひ出でし 山本歩禅 一片の薔薇散る天地旱の中 西東三鬼 一輪ざしに活けたる薔薇の二輪哉 正岡子規 亡き父と選びし薔薇の咲き初めし 野沢節子 人に秘す記念日ひと日薔薇五月 後藤綾子 厨に薔薇浸して午後を眠りをり 館岡沙緻 口利けぬ父の作りし薔薇開く 田川飛旅子 四阿に白き卓子や薔薇の雨 楠目橙黄子 夕焼消え真紅の薔薇を抱き来し 野見山朱鳥 夕風や白薔薇の花皆動く 正岡子規 夜の薔薇我が瞳に宿る赤き闇 吉原文音 封ひらく薔薇を剪りたる花鋏 猪俣千代子 山畑やくれなゐの薔薇ひとつ咲く 岸本尚毅 己が活けし薔薇へ礼してわが少女 田川飛旅子 庭の薔薇汝に切り供ふ昨日また今日 及川貞 ◆ 薔薇② ◆ 散りざまの絵ごころ誘ふ薔薇四五片 高澤良一 散りし薔薇テニスコートをふちどりて 岩崎照子 散る薔薇に下り立ちて蜂吹かれけり 渡辺水巴 来て見れば軒はふ薔薇に青嵐 芥川龍之介 椅子を置くや薔薇に膝の触るゝ処 正岡子規 潦つながりそめし薔薇の雨 後藤夜半 爆心地真紅は薔薇のほかになし 池田秀水 猫と住み紅薔薇垣を隠れ蓑 殿村菟絲子 病癒えて力無き手や薔薇を折る 正岡子規 精神科より薔薇投げ呉れぬ母の日よ 加藤知世子 籠蛍ほのに照らせる薔薇白し 臼田亞浪 紅薔薇に闇来ても紅そこにあり 鈴木真砂女 苑棘を残して薔薇の散りにけり 相生垣瓜人 英文手紙書きあぐむ子や薔薇の雨 石田あき子 苺摘むかそかな音も薔薇の奥 野見山朱鳥 薔薇いけて君は晝寝をするやらん 会津八一 薔薇くれし嫗みまかり薔薇咲ぬ 正岡子規 薔薇に付け還暦の鼻うごめかす 西東三鬼 薔薇の家に心へだたる父と子と 三谷 昭 薔薇の情われ三十をすでに過ぎ 下村槐太 薔薇の香の紛々として眠られず 正岡子規 薔薇を画く花は易く葉は難かりき 正岡子規 薔薇剪って庭下駄重き病上り 羅蘇山人 薔薇剪つて手づから活けし書斎哉 正岡子規 薔薇剪つて短き詩をぞ作りける 高浜虚子 薔薇剪りに朝のエプロン濡らしけり 永井龍男 薔薇剪るや深きところに鋏入れ 島谷征良 薔薇呉れて聖書かしたる女かな 高浜虚子 薔薇咲いて起居いささか華やげり 高澤良一 薔薇咲くや天主堂見に長崎へ 大島民郎 薔薇嗅ぎて去る黒髭の郵便夫 辻田克巳 薔薇垣を飛び立つ虫に日の光り 島村 元 薔薇開き今宵の団扇新しき 中村汀女 惜しみなく剪り来てバラの香の新た 中村汀女 薔薇館言葉気取りし鸚鵡ゐて 原田青児 藪跡や筍生える薔薇の側 正岡子規 貧乏寺蜂はぬくぬく薔薇の中 中山純子 貧相な薔薇の咲きたる土用かな 鈴木真砂女 赤ん坊に指握られて薔薇とゐる 栗林千津 鉄打つ音薔薇を芯まで開かしむ 津田清子 雷すぎしことばしづかに薔薇を撰る 石田波郷 青蛙薔薇の煙雨に鳴きぬれぬ 西島麦南 ことごとく刺を切られて花舗のバラ 佐藤信子 [指定ﾍﾟｰｼﾞを開く] ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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