8/9ﾍﾟｰｼﾞ目 ◆ 薄暑 ① ◆ ５６》時候 あぶらとり一枚もらふ薄暑かな 日野草城 お握りの海苔唇につく薄暑かな 中西舗土 かすてらの紙のしめりの薄暑かな 龍岡 晋 きいちごを蟻ねぶりゐる薄暑かな 三橋鷹女 この街のたそがれながき薄暑かな 久保田万太郎 しろき蝶野路にふかるゝ薄暑哉 松瀬青々 どくだみの香にたつ土の薄暑かな 西島麦南 にひづまの水仕愉しむ薄暑かな 西島麦南 はたらいてもう昼が来て薄暑かな 能村登四郎 らくがきの子が通せんぼ夕薄暑 上田日差子 エレベーター一気に下りて町薄暑 山下美典 サングラスかけて薄暑の軽井沢 田中冬二 タイプの音ひびく白壁薄暑来ぬ 大井雅人 タクシーの終始不愛想薄暑かな 中村汀女 パン屋の娘頬に粉つけ街薄暑 高田風人子 パン焼く香溢る青山薄暑かな 恩田秀子 メガネ屋の薄暑のドアの半開き 藤田柾実 下町にスピッツ汚れ薄暑なる 加藤知世子 乳呑児の香が掌にのこる薄暑かな 阿部みどり女 人々に四つ角ひろき薄暑かな 中村草田男 人ごみに母見失ふ薄暑かな 菊池ふじ子 人妻よ薄暑の雨に葱や取る 飯田蛇笏 伊賀峡田薄暑の苗を植ゑはじむ 柴田白葉女 修道女と肘触れしかば薄暑来ぬ 小林康治 個展いで薄暑たのしき街ゆくも 水原秋桜子 地下室に花を蔵せり街薄暑 福田蓼汀 女帯目立ち初めけり街薄暑 吉屋信子 如露の水素足にかかる薄暑かな 清崎敏郎 子を産みし乳房が匂ふ薄暑かな 小林康治 子猫くれに薄暑のバスに身を揺られ 田中英子 官邸の薄暑をいづる花売女 飯田蛇笏 嵯峨豆腐買ふ客ならび薄暑かな 村山古郷 帽子屋の帽子とりどり街薄暑 柴田白葉女 揚泥の乾く匂ひの薄暑かな 日野草城 新宿の空は凸凹薄暑来る 中村明子 旅帰り軽暖薄暑心地よし 高浜虚子 日曜の午後の銀座の薄暑かな 成瀬正とし 日照雨して薄暑の蓬しゞに生ふ 西島麦南 旧道を蟹渉り急く伊勢薄暑 鳥居おさむ 時計外せば丸腰に似て薄暑 鈴木栄子 朝より瀬戸の船音旅薄暑 高浜年尾 栴檀の花うすいろに郷薄暑 飯田蛇笏 槐ちる水に薄暑のくもりあり 石原舟月 河豚ばかりあがれる海の薄暑かな 前田普羅 浴衣裁つこゝろ愉しき薄暑かな 高橋淡路女 海女達の貝に終始の島薄暑 阿部みどり女 海草の打上げられて島薄暑 武田光子 港湾の音の働く薄暑かな 西村和子 炊女の汗ぬすみ拭く夕薄暑 飛鳥田[れい]無公 炒飯は炎と睦む薄暑かな 櫂未知子 ◆ 薄暑 ② ◆ 無愛想に切符飛出る薄暑かな 太田梨三 物買うて団扇貰ひし薄暑かな 小杉余子 百合の葉の虫みつけたる薄暑かな 久保田万太郎 皆が見る私の和服パリ薄暑 星野立子 知る人もなき群衆や夕薄暑 殿村莵絲子 磯貝の潮がくり咲く薄暑かな 飯田蛇笏 窓曇る卓の静物薄暑かな 飯田蛇笏 笋の皮の流るる薄暑かな 芥川龍之介 紹介状持ちて薄暑のベルを挿す 星野 椿 羽蟻とぶ蚕飼屋の軒の薄暑かな 小松崎爽青 羽蟻地にむれて影曳く薄暑かな 飯田蛇笏 花鉢を屋形も吊りて薄暑かな 飯田蛇笏 菖蒲田に水ほとばしり薄暑来る 角川源義 薄暑はや日蔭うれしき屋形船 高浜虚子 薄暑来てこでまりの花散るを知らず 松村蒼石 蠅のとぶ薄暑の草を刈りにけり 飯田蛇笏 街薄暑まむしを粉に碾いて売る 大串 章 街薄暑カフェテラスにレモネード 川口咲子 街薄暑ハンドバックは白き革 吉屋信子 貨車のさび草にうつりて薄暑かな 太田鴻村 逆さまに地下足袋干して庭薄暑 藤原香雲 電車より茶の間が見える薄暑かな 石川文子 霊園のバケツ重なる薄暑かな 林田潤子 飼犬の穴掘つてゐる庭薄暑 倉内法子 鵜がとんで堺の空の薄暑かな 高濱年尾 黄昏のスクランブルの薄暑かな 肥后潤子 ～薄暑～より私の好きな季語と私の俳句 ご感想もよろしくお願いします。 [指定ﾍﾟｰｼﾞを開く] ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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