9/10ﾍﾟｰｼﾞ目 ◆ 燕 乙鳥 ① ◆ ４５春夏》動物 まろまろと茶山燕は飛びならひ 野澤節子 一部屋に事足る暮し燕くる 村井光子 乙鳥や人の物いふ上になく 小林一茶 乙鳥や小手ふところに質屋出づ 清水基吉 乙鳥や赤い暖簾の松坂屋 夏目漱石(29) 乙鳥や轍の小魚つかみゆく 高井几董 二度炊きへ藁をひとくべ燕来る 柳川大亀 人混みの背の雨乾く燕の駅 中 拓夫 今来たと皃を並べる乙鳥哉 小林一茶 傘にねぐらかさうやぬれ燕 榎本其角 働くに余すいくとせ燕来る 鈴木真砂女 初燕わが町ながら鮮らしく 長谷川かな女 初燕大空に見し月夜かな 神尾久美子 初燕横浜は坂多きかな 古賀まり子 初燕田を焼く煙今日もあり 米沢吾 亦 紅 初燕納税通知封のまゝ 米沢吾 亦 紅 取り壊すビルの空翔け初燕 三村純也 口中に入れ歯遊ばす燕来と 田川飛旅子 古里は未だ屋号や軒燕 松本正弘 夕燕いづこの父も子を抱かむ 伊丹三樹彦 夕燕我には翌のあてはなき 小林一茶(45) 夜燕はものやはらげに羽ばたきぬ 阿波野青畝 夢殿に今年の燕来てゐたり 米澤吾 亦 紅 大津絵に糞落しゆく燕かな 与謝蕪村 少年を怒らす朝の初燕 長谷川かな女 居合抜けば燕ひらりと身をかはす 夏目漱石(29) 山里は梅さく頃の燕哉 正岡子規 島の教会まつすぐに燕来し 長田 等 干拓にのこるさゞなみ燕来ぬ 米沢吾 亦 紅 思ふ事ただ一筋に乙鳥かな 夏目漱石(28) 戦ひのあとに少き燕かな 正岡子規 春雨やよその燕のぬれてくる 正岡子規 暁けて来るくらさ愉しく燕とゐる 橋本多佳子 暗き森うしろに燕きたる家 百合山羽公 ◆ 燕 乙鳥 ② ◆ 朝市に燕がこぼす飛騨の土 小澤満佐子 棒鱈の荷も片づきぬ初燕 石井露月 機織や燕きたるといそしめり 水原秋櫻子 欠航や雨の燕の飛ぶばかり 五十嵐播水 死ぬときが医師の停年燕来る 後藤綾子 死期近き患者もともに燕待つ 古賀まり子 江上の燕は緩くボート迅し 高浜虚子 油屋の荷の緒をぬける燕哉 幸田露伴 沼の香のただよひそめて燕来る 木村蕪城 浮御堂浮いて燕を通しけり 石田勝彦 海あかり代田あかりを夕燕 猪俣千代子 海苔麁朶に遊ぶ漁村の燕かな 正岡子規 無医村に今日医者がくる燕くる 白岩絹子 焼跡を雨にさまよふ燕かな 美清 燕とびかふ空しみじみと家出かな 種田山頭火 燕の喉赤し母恋ふことも倦む 寺山修司 燕の糞かはけり村のイエスの肩 寺山修司 燕の飛びとどまりし白さかな 松本たかし 燕ほどの自由もなくてビル勤め 菖蒲あや 燕やぬれ足並ぶ橋の上 藤野古白 燕や出船の水尾にひたとそひ 五十嵐播水 燕や川を越えれば子の新居 大久保白村 燕や泥をべたりと紙の上 森 鴎外 燕や流のこりし家二軒 高井几董 燕や淋しき町に淋しき坂 野村喜舟 燕や石段欠けて舟着場 大橋櫻坡子 燕や酒蔵つづく灘伊丹 正岡子規 燕や酢の看板を抜けて行く 横井也有 燕や馬の草鞋の落し物 野村喜舟 海づらの虹をけしたる燕かな 宝井其角 山のはにつばめをかへす入日哉 宝井其角 燕や烈風に打つ白き腹 川端茅舎 今つけし泥濡れてをり燕の巣 棚山波朗 休店の軒にはかどる燕の巣 塩川祐子 通学時だけ列車くる燕の巣 井上宗雄 白樺の雨に燕の巣がにほふ 飯田龍太 阿寒湖のホテルの軒の燕の巣 荒巻大愚 燕の巣岬の町のなんでも屋 藤原日佐子 燕の巣みどりのかげのさしゐたり 大野林火 住みつきて町医となりぬ燕の巣 北崎珍漢 巣燕の城の高さをまだ知らず 八染藍子 巣燕や路地より見ゆる小浜湾 斎藤朗笛 巣燕に昼のラヂオが楽送る 中村汀女 燕の巣長子その母を酷使せり 安住 敦 自作 [指定ﾍﾟｰｼﾞを開く] ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
友達に教える [編集] 無料ﾎｰﾑﾍﾟｰｼﾞ作成は@peps! |