8/13ページ目 ◆春の潮 春潮A◆ 春潮へ開けて大きな舟屋口 白井新一 爪置いて逃げたる蟹や春の潮 鈴木真砂女 思ひあまるごと春潮のふくれ来る 菖蒲あや 紀の国の渚は長し春の潮 高浜年尾 花店の十歩にしぶく春の潮 飯田龍太 春潮を遠くに聞くは夜半の夢 八束 春潮や三ケ月型に海女もぐる 加藤知世子 春潮の果なる島を近づけて 稲畑汀子 春の潮踊るさまもて岩を越す 鈴木真砂女 春潮の満ちて濡らせし島の道 右城暮石 春潮に音あるか玻璃開きみる 高木晴子 春潮を引きよせ山は峙てり 友次郎 西東ちがふ春潮珊瑚礁 山口青畝 春潮に海女の足掻きの見えずなる 山口誓子 春潮に梳りをるものを刈る 富安風生 ※ 梳る くしけずる 春の潮死ぬに力を貸しにけり 正木ゆう子 春潮の匂ふばかりに流るる日 今井つる女 春潮のまぶしさ飽かずまぶしめる 中村汀女 春潮やきりぎしにこそ墓は建つ 佐藤三保子 椿落ち春潮ここに美しき 富安風生 春潮や墨うすき文ふところに 宇佐美魚目 春潮の幾重にも夜に入らむとす 桂 信子 春潮のひびきて白き月の暈 東 早苗 春潮やひねたる蜜柑子等と喰ふ 岸田劉生 春の潮ねぢれて岩をのぼるなり 湯浅桃邑 春潮の鰈軽しと漁夫云へり 青葉三角草 春潮を見る頬杖を巖につき 富安風生 春潮や和寇の子孫汝と我 高浜虚子 ※ 和寇 わこう 大陸にいた民族 春潮にたとひ艪櫂は重くとも 高浜虚子 ※ 艪櫂 ろかい 春潮や大きな崖の暮れかかる 岸本尚毅 春潮の水平線を引き寄せし 西村和子 春潮やコーヒーミルク渦を巻く 吉原文音 春潮を胸のたかさと思ふとき 石田郷子 春潮や過去がほどける夢つれて 宮崎敦子 掌に掬う春潮のまだ冷きを 大嶽青坡 春潮満つ暾は岬鼻を廻り込み 日比孝子 ※暾(あさひ) ※岬鼻(さき) 春潮の綺羅にとけゆく黒き船 俵木陶光 舟屋の舟にひたひた音す春の潮 伴 叩骨 近けれど旅三時間春の潮 中村汀女 ひたひたと春の潮打つ鳥居哉 河東碧梧桐 島の子が鯨が来るぞと春の潮 前川紅楼 春の潮琉球藍を湛へたり 荒井正隆 ◆春の潮 春潮B◆ 春潮の入るを拒める島の川 右城暮石 巌まろく老い春潮を乗せあそぶ 岸風三樓 裏木戸を出で春潮に手を伸ぶる 岸風三樓 突如躬を起し春潮巖攻むる 岸風三樓 駆けゆきしあと春潮のくつがへり 岸風三樓 春潮や紅殻ぬりの島社 西本一都 思ひゐるのみ春潮の渦力 石田勝彦 春潮の重さの網をたぐるなり 石田勝彦 春潮は裂け巖々は相擁す 橋本鶏二 襟合はす如春潮の相寄りて 柴原保佳 よう帝の御座船浮ぶ春の潮 寺田寅彦 八幡船押しあぐる春の潮かな 中 勘助 春潮の浮べし島の弁財天 吉屋信子 春潮をへだてて飢ゑる民族よ 小泉八重子 旅館洩る灯に春潮のふくらむも 三好潤子 海女がひらく脚にすがる子春の潮 原コウ子 春潮や働き蜂は余恋なく 永井龍男 春潮へ大きくレイを抛げにけり 佐川広治 海女潜る春潮白きもの流れ 中 拓夫 春潮のひびける島の宮柱 深見けん二 春潮や岩頭聖母御細身 今瀬剛一 鮑剥く刃を春潮にひたしけり 辻 桃子 この国の押して漕ぐ櫂春の潮 中戸川朝人 春潮を堰く岩門あり鵜戸といふ 藤田湘子 ※ 堰く せく あるときは春潮の鴎眞一文字 飯田蛇笏 春潮を家の畳に立ち眺む 山口誓子 春潮の穂の生れ伸び消ゆるまで 後藤夜半 魚島へ春潮なだれくる正午(まひる) 原 裕 見送るや春の潮のひたひたに 夏目漱石(29) 子離れもまた良し春の潮光る 卜部晴美 春潮のテープちぎれてなほも手をふり 種田山頭火 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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