5/13ﾍﾟｰｼﾞ目 ◆ 春の夕 ◆ ２３４》時候 雪つけし飛騨の国見ゆ春の夕 前田普羅 鳴くと言へば蟇また鳴けり春の夕 及川 貞 一ぬけて二ぬけて春の夕づきぬ 佐土井智津子 まなこより衰う春の夕景色 長谷川草々 右手から弓手へ春の夕ベかな 五島高資 浅草の菓子を土産や春の夕 広江八重桜 危機脱し心萎えたる春の夕 相馬遷子 海は帆に埋れて春の夕かな 吉分大魯 よき葉巻すこし喫みたり春の夕 久米正雄 ※ 喫み のみ をかしらし春の夕の夜這星 尾崎紅葉 甕の中覗いてみると薄明り春の夕がとけこんでいた 山崎方代 ※ 甕 かめ 一斉にもの食む春の夕まぐれ 沼尻巳津子 物乞ひの煙草吸ひさす春の夕 横光利一 春の夕の灯のきらめきとなりにけり 久保田万太郎 障子あけはなちし春の夕かな 久保田万太郎 蕭条たる古駅に入るや春の夕 夏目漱石(32) ※ 蕭条 しょうじょう＝ひっそりともの寂しいさま 地震知らぬ春の夕の仮寝かな 河東碧梧桐 春の夕光ただよう宙へ生まれし声 赤城さかえ 四出紐(しでひも)に死の匂ひしか春の夕 赤尾兜子 落葉松に焚火こだます春の夕 前田普羅 閉帳の錦たれたり春の夕 与謝蕪村 春の夕かのきぬ羽織着たりけり 与謝蕪村 燭の火を燭にうつすや春の夕 與謝蕪村 ▲俳句画像.jpg ◆ 春の宵 ◆ ２３４》時候 春の宵(はるのよい)の宵は、人々が、日没後の寛ぎの時を楽しむ頃を表します。 よって寝床に就くまでの起きている人らが主役です。 ゆく春の宵にて僧が修羅を舞ふ 佐藤鬼房 客帰る三日月があり春の宵 高木晴子 「前略」と書きしばかりや春の宵 中村苑子 六区とてひとりは淋し春の宵 関口真沙 妊りし娘に長電話春の宵 野川枯木 同じ橋三たび渡りぬ春の宵 夏目漱石(47) ▲俳句画像.jpg 春の宵妻のゆあみの音きこゆ 日野草城 眼つむれば若き我あり春の宵 高浜虚子 婚の荷の重ねの淡し春の宵 橋本良子 織田作の住みたる町の春の宵 高見岳子 江の電のことんと停まる春の宵 水原春郎 息つめて写経一と文字春の宵 石川泰子 伝へ古る雅の舞や春の宵 谷川八重子 椅子の背をすべる衣や春の宵 大場ひろみ 宿坊の廊下軋むや春の宵 内田八重子 春の宵身より紅紐乱れ落つ 三好潤子 子守歌うたつてみたし春の宵 谷口桂子 灯の位置を変へてひと待つ春の宵 谷口桂子 水銀の行方も知れぬ春の宵 五島高資 鯱のイルミネーシヨン春の宵 稲畑廣太郎 ※鯱 しゃちほこ 春の宵やわびしきものに人体図 中塚一碧楼 春の宵皿を汚して男去る 北さとり 寐まどひし鶯もあるよ春の宵 渡辺式子丸 ふと春の宵なりけりと思ふ時 高浜虚子 活魚の顔に疵あり春の宵 岩井如酔 句を知りて四十年の春の宵 高橋淡路女 春の宵高層ビルに迷い犬 伊藤真理 けふよりの妻と来て泊つる春の宵 日野草城 草庵や子の絵ひとつに春の宵 杉田久女 額つりて小家賑し春の宵 前田普羅 足なえの妻所在なや春の宵 寺田寅彦 傾城に歌心あり春の宵 寺田寅彦 女湯の聲の覚えや春の宵 会津八一 裏口に誰か来て居る春の宵 田中冬二 春の宵鋏の小鈴よくひびき 吉屋信子 花嫁が舳先をあるく春の宵 佐川広治 人形の胸押せば哭く春の宵 伊藤敬子 抱けば吾子眠る早さの春の宵 深見けん二 新妻の湯桶かんこん春の宵 辻田克巳 裏川の水鳴り止まず春の宵 内田百間 そぞろ歩きもはなだの裾や春の宵 夏目漱石(47) 春の宵噴煙の香を横ぎれり 前田普羅 父を呼ぶコーヒの時間春の宵 小山白楢 春の夕(自作) 春の宵(自作) [指定ﾍﾟｰｼﾞを開く] ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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