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◆ 梅林 ◆
２３春》植物
一枝を活け梅林にある思ひ 鷹羽狩行
梅林の子にたんぽぽの咲きゐたり 米澤光子
梅林を行けば先立つ亡夫（つま）の影 松村富子
ステッキは私の命梅林 岩上とし子
梅林の一樹一樹の一二輪 山本晃裕
早口の雀来てをり梅林 三柴怜子
切り株に坐りて寒き梅林 吉沢陽子
梅林に金柑の実の大樹かな 芝 尚子
梅林へ母の面影たどりつつ 柴田朱美
木瓜の花咲きて梅林静かなり 田島昭久
梅林はほの赤らめど蕾のみ 田中藤穂
人の世を抜け梅林の風となる 近藤喜子
梅林に少年の声透き通る 三浦澄江
梅林の一樹と言へるほどの梅 大橋敦子
海遠く見て梅林の風にゐる 立村霜衣
梅林に居て妻のこと父母のこと 大橋 晄
野梅見て来し目の続き梅林 稲畑汀子
梅林へ菜の咲く村を通りけり 山田六甲
炭を焼く煙いちにち梅林へ 宮田正和
梅林に干大根の痩せてをり 高木晴子
月ひかりだすまでゐたり梅林 飴山 實
亡き妻のさきに来てゐる梅林 藤崎久を
梅林の真昼間の香となりにけり 三村純也
梅林をかかへこみたる蜜柑山 西村和子
梅林を額明るく過ぎゆけり 桂 信子
暮れそめてにはかに暮れぬ梅林 日野草城
梅林の中の一枚田を打てり 茂里正治
梅林を上りてきたる海鼠捕 斉藤夏風
梅林を尋常卒の父母歩む 坪内稔典
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