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◆ 春炬燵 ◆
２３４春》生活
まだぬくき春の炬燵にだれもゐず 長谷川 櫂
▲一句／３点画像▼前へ/次句画像２点へ
うたゝ寝をたのしむ母の春炬燵 河村玲波
かくれんぼ入れてふくらむ春炬燵 八染藍子
この年にまだ字が書けて春炬燵 五十嵐播水
そばに置く鳥類図鑑春炬燵 松村陽子
ちよつと外へ出て戻りたる春炬燵 高濱年尾
ひつそりと母をあたため春炬燵 岡崎桂子
まどろみて覚めて愛居の春炬燵 成瀬正とし
わが死後のことにも及び春炬燵 橋本榮治
借りて読む七番日記春炬燵 黒田杏子
妻老いぬ春の炬燵に額伏せ 富安風生
屋根越しにマストのゆきき春炬燵 原田青児
山地図を展きしままの春炬燵 本郷をさむ
忘れもののやうに母ゐる春炬燵 猪口節子
春炬燵風北寄りに変りけり 永方裕子
怠け癖もどるや雨の春炬燵 水原秋櫻子
故郷捨てて捨てられしごと春炬燵 鳥居美智子
新聞をひろげつぱなし春炬燵 川崎展宏
春炬燵あすのもの食ふ夫婦かな 石橋秀野
春炬燵みんな出かけてしまひけり 黛 執
春炬燵鸚鵡の真似をする人間 中村草田男
昼も夜も春の炬燵に老二人 五十嵐播水
書を置いて開かずにあり春炬燵 高浜虚子
来ていまだ伏せある手紙春炬燵 村越化石
猫の爪切つてやるなり春炬燵 長谷川 櫂
飲食も目薬さすも春炬燵 久力澄子
死を恐れず風邪を恐れて春炬燵 高橋悦男
◆ 蜆汁 ◆
２３春》生活
かちやかちやとかなしかりけり蜆汁 山口青邨
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これといふ人なき家系蜆汁 岡本久一
しじみ汁いのちの限り母の恩 角川春樹
のれん入れて風すさぶ夜の蜆汁 鈴木真砂女
ふるさとに旅籠住ひや蜆汁 楠目橙黄子
ほんの少し家賃下りぬ蜆汁 渡邊水巴
まつくらな雨降りにけり蜆汁 石田郷子
蜆汁用なき人となつてをり 佐々木六戈
日曜やひとりに余す蜆汁 山田みづえ
いまのまにやみし吹雪や蜆汁 龍岡 晋
十三湖濁る大景蜆汁 蓬田紀枝子
堅田の灯まばたきやまず蜆汁 山田春生
蜆汁きのふ大火のありしかな 久保田万太郎
夫婦老いかしゃかしゃ啜る蜆汁 岡田日郎
めそめそと雨の降る日や蜆汁 広江八重桜
れんこん屋の急な階段蜆汁 田中冬二
大風に閉ざす障子や蜆汁 阿部みどり女
宍道湖の今朝の濁りや蜆汁 辻桃子
花にまた早き京都や蜆汁 酒井黙禪
蜆汁家計荒るゝにまかせをり 小林康治
金婚も常のごと過ぐ蜆汁 石野冬青
牛島や桜に早き蜆汁 正岡子規
蜆汁朝のカナリヤ鈴を振る 小原菁々子
 春炬燵 Harugotatsu 鬼 ト に ラ 春 手 ン 炬 を プ 燵 借 の 蝉 る 海 |
蜆 汁 Shizimiziru 忙 身 し を 蜆 き 食 汁 箸 ら や ふ 蝉 海 |
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