9/10ﾍﾟｰｼﾞ目 ◆ 余寒 ① ◆ ２３春》時候 藪蔭に梅一輪の余寒かな 寺田寅彦 ▲一句／５点画像▼前へ/次句画像４点へ ひなどりの羽根ととのはぬ余寒かな 室生犀星 ぶらんこの下の余寒の水たまり 高澤良一 やまぐにの古城にあそぶ余寒かな 飯田蛇笏 受験子の膝そろへたる余寒かな 斉藤夏風 咲かゝる梅に余寒の日数かな 春爾 墨烏賊の墨にまみるる余寒かな 鈴木真砂女 大雨中馬市果てゝ余寒かな 大須賀乙字 屋根屋根を余寒の雨の濡らしけり 久保田万太郎 山吹に枯枝まじる余寒かな 室生犀星 山村の暮を鶏なく余寒かな 羅蘇山人 底たゝく音や余寒の炭俵 召波 庭の雪落葉ににじむ余寒哉 瀧井孝作 情なう蛤乾く余寒かな 炭 太祇 用のなき雪のたゞ降る余寒かな 井上井月 懐炉二つ残る寒さを歩きけり 前田普羅 抜き残す赤蕪いくつ余寒哉 芥川龍之介 拝観の菩薩にのこる余寒かな 小山松岬子 日あたれる花に吉野の余寒かな 角川春樹 水くらく余寒のあられしづみけり 石原舟月 水掴む浚渫船の余寒かな 岡村一郎 燭光のここにはなやぐ余寒かな 飯田蛇笏 穴にのぞく余寒の蟹の爪赤し 正岡子規 篠を刈る余寒の山の深さかな 芥川龍之介 米搗の汗ふいて居る余寒かな 角田竹冷 網染めのかまど火足して余寒なほ 河野南畦 部屋内のかういふ寒さこそ余寒 高木晴子 鎌倉を驚かしたる余寒かな 高浜虚子 ◆ 余寒 ② ◆ 余寒なほぬすつと猫の啼きもせず 石橋秀野 生牡蠣の咽喉もとすべる余寒かな 鈴木真砂女 旅発ちの靴にひそんでゐし余寒 山田弘子 武蔵国のほいほい講の札余寒 辻 桃子 舌かみ切らんばかり余寒の山桜 福田甲子雄 磯岩に飛び岩の鵜も余寒かな 河東碧梧桐 関の戸の火鉢ちひさき余寒かな 与謝蕪村 阿蘇の煙たなびく余寒日和かな 吉武月二郎 隈々に残る寒さやうめの花 与謝蕪村 魚市に魚の少なき余寒かな 正岡子規 鶯の梅に下痢する余寒哉 正岡子規 鶯はきかぬ気でなく余寒かな 小林一茶 漉場余寒風にあく木戸風が閉む 宮津昭彦 うつくしき余寒の頬や稽古海女 鳥羽とほる サンシャインビルの直下の余寒かな 岸田稚魚 一点の雲のそそげる余寒かな 前田普羅 人間の宿泊禁ずと地下余寒 沢木欣一 チンと鳴る朝餉余寒のドル相場 大西やすし 返信の来る筈もなき余寒かな 山田弘子 ◆ 余寒 ③ ◆ 世を恋うて人を恐るる余寒かな 村上鬼城 錠剤の喉元すぐる余寒かな 吉川郁美 糶の声ひびく余寒の魚市場 林 昇 いつまでも残る傷痕余寒かな 鈴木 卓 妻留守の門を入りたる余寒かな 稲岡 長 又仕事中途半端にして余寒 稲旗汀子 緊張のほどけたるより余寒かな 稲旗汀子 また来ると病人に言ふ余寒かな 田中藤穂 明るさの中に余寒のありにけり 稲畑汀子 余寒なほ蔵の庇に唐辛子 鈴木とおる 大切な一言いえず余寒なお 福島松子 余寒ともいうてつゞいてをりしもの 稲畑汀子 覚えたる灸点ひとつ余寒かな 大橋敦子 余寒なほ今日を限りと思ひつつ 今橋眞理子 見舞客帰りて俄なる余寒 岩田沙悟浄 余寒なほ一人へりたる米炊ぐ 島田尚子 堂の扉の賽口くらし春余寒 丸山冬鳳 黒松の踏ん張つて立つ余寒かな 岩月優美子 尼寺と飲屋真向ひ余寒なる 佐原由紀子 真砂女亡し余寒へ晒す割烹着 山元志津香 居に近き岸を歩きて余寒尚 小澤登代 余寒なほオカリナの音の透き通り 内山照久 余寒とも言ひて心のけぢめ置く 稲畑汀子 余寒空金柑くはへ尾長飛ぶ 木村迪子 煮豆の火ゆるめてよりの余寒かな あきの澪 繋留のヨット犇めく余寒かな 鈴木 實 父の数珠幼ナが持ちて通夜余寒 丸美砂子 二階から豆腐屋を呼ぶ路地余寒 丸美砂子 余寒なほ秒針ひびく夕間暮 丸美砂子 [指定ﾍﾟｰｼﾞを開く] ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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