1/3ﾍﾟｰｼﾞ目 ◆十一月◆ 十一月朔日服を替へて出づ 広瀬河太郎 からまつに十一月の雨の音 野中亮介 鍋もののうまき十一月来たる 石川桂郎 十一月寝刻まで茶湯たぎらせよ 斎藤空華 十一月街路樹の色ゆたかなる 作山和子 花石蕗に十一月の始りぬ 高木晴子 ▲一句画像▼選句画像 山に入る十一月の背負籠かな 白岩三郎 川透きて十一月の桑畑 斎藤道子 影淡き十一月の稲架掛くる 石川桂郎 投函に十一月の日差す道 高澤良一 新しきナイフとフォーク十一月 川崎展宏 魚を焼く十一月の身のまはり 黛 執 かたくなな十一月の空がある 櫂未知子 日暮見ぬ十一月の道の辺に 原 石鼎 峠見ゆ十一月のむなしさに 細見綾子 月上る十一月の草の香に 新村写空 松ばかり冴えて十一月といふ 石塚友二 桃の木に十一月の日ざしかな 篠崎圭介 聖樹はや十一月のレストラン 大久保白村 貌うつす十一月の水の張り 桂 信子 迷ひ来て十一月の蝶黄なり 藤原たかを 手術痩せの身に十一月終りけり 上野さち子 茨の実琥珀十一月終る 山口青邨 ◆短日 たんじつ 日短 ひみじか 暮早し◆ 短日や猫につまづく厨事 長谷川富佐子 藁灰に繩のかたちや日短 永方裕子 短日や猫の小鈴の鳴ることも 矢崎硯水 短日や雌を死なせし紅雀 野村喜舟 短日をごとりと仕舞うおもちゃ箱 武田香津子 不確な世に短日が横たはる 保坂リエ 短日や独りの果てのほどきもの 永井東門居 言ひ足りぬことに気付きし日の短か 久保田君子 短日や庭師の残す高梯子 川崎俊子 短日や陸より早き船灯 高村寿山 ▲俳句画像jpg 音もなくたたむ喪の帯日短し 長谷川秋子 お見舞の女ふたりに暮早し 下村ひろし ことづてもまた短日の旅の荷に 藤崎久を もう雨戸締めねばならず日短か 吉屋信子 よらでゆく島に手を振る日短か 吉屋信子 ロボットと話している児日短か 八木三日女 古町の小さき銀行暮早し 轡田 進 妻よわが短日の頬燃ゆるかな 石田波郷 せはしなく暮れ行く老の短き日 高浜虚子 短日の梢微塵に暮れにけり 原 石鼎 日短かやかせぐに追ひつく貧乏神 小林一茶 日短か己が手のもの探し居り 梅山香子 日短か牛舎の牛は人を恋ふ 福田蓼汀 短日の暗き活字を子も読める 中村汀女 ▲俳句画像jpg 短日の望遠鏡の中の恋 寺山修司 短日の松の葉末のなほ暮れず 山口誓子 日短き道にひらひぬ子供本 室生犀星 暮早し戻りて点す厨の灯 古道記美子 短日の灯に客残す美容院 吉屋信子 ▲俳句画像jpg [指定ﾍﾟｰｼﾞを開く] ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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