2/2ﾍﾟｰｼﾞ目 ◆ 綿虫 ◆ 11冬》動物 樹下に来て綿虫綿を失なひし 滝 佳杖 綿虫に逢はんと来たり深大寺 外川飼虎 綿虫やそこは屍の出でゆく門 石田波郷 さしのべし手と綿虫と宙にあり 綾部仁喜 綿虫や子を呼びに出て雲深き 原田種茅 綿虫と別れて熱き湯に入れり 相生垣瓜人 掬ひたる綿虫綿を吹き返す 能村登四郎 綿虫のながれてあをき行手かな 黒田杏子 あはたゞしき死や綿虫の蹤き行けず 殿村菟絲子 綿虫の漂ふ月日風鶴忌 小林康治 綿虫をいひ波郷忌をいふことも 岸田稚魚 綿虫や葬りの道を掃きいそぎ 岸田稚魚 十一月二十一日 母は亡し綿虫に手をさしのべて 大木あまり 綿虫や納屋に用なき石の臼 坂本登美子 旅立ちの早や綿虫を追ふまなざし 鷲谷七菜子 綿虫やむらさき澄める仔牛の眼 水原秋桜子 綿虫や晩年むしろ夢多き 宮下翠舟 綿虫や首振つて消すいやな顔 細川加賀 綿虫の死しても宙にかがやくや 内藤吐天 こころ急くとき綿虫の近づきぬ 藤井寿江子 蹤けゆかな綿虫が火を発すると 政野すず子 綿虫を不意に掴みし女の手 塩川雄三 葬の列いま綿虫のなか通る 伊藤霜楓 手の中にかすか綿虫の息づかひ 今鴎 昇 綿虫のいつぱいとぶ日里帰り 澤井悦子 綿虫に洗濯物の雫かな 加藤三七子 雪呼びいる初綿虫を掌に開き 古沢太穂 綿虫や立ち動くもの妻といふ 杉山岳陽 日だまりに出し綿虫のかゞやけり 相馬遷子 わが吐息綿虫となりただよへる 石田あき子 溜め息に綿虫浮かれだしゐたり 仙田洋子 いつも来る綿虫のころ深大寺 石田波郷 綿虫と漂ひ年を越えゐしや 塘柊風 二月礼者見し綿虫のわづかかな 萩原麦草 ◆ 雪虫 ◆ 11月》動物 雪虫のかくまで碧き三ケ日 道山昭爾 雪虫や連山藍を重ね合ふ 菅原多つを 雪虫や田下駄を山の神に吊り 柴田冬影子 産卵の雪虫飛びて裏羽黒 阿部月山子 とくゆるく雪虫まひて蘇鉄寺 飯田蛇笏 はなやぎて与謝の雪虫舞ひにけり 加藤三七子 雪虫や僧と妻とがつれだちて 寺田京子 雪虫のひとつの死所をたなごころ 能村登四郎 往診にまた雪虫の頃が来し 新明紫明 人の息かかるを待てり雪虫は 鷹羽狩行 雪虫にあはき交りありしこと 赤尾兜子 雪虫のはひ出して雪やはらかき 清崎敏郎 雪虫や雪降る前の音なき野 柴田白葉女 雪虫の塩より昏くあふれむと 齋藤 玄 みづからの重さ雪虫身を細め 河野南畦 雪虫群る野に残光のあるかぎり 加倉井秋を 壮年の兄遠ながめ雪虫くる 寺田京子 雪虫に沖つ波いろ濃かりけり 佐野俊夫 雪虫が胸の高さすぐ眼の高さ 山口誓子 雪虫を見てよりこころさだまらず 石川陽子 雪虫にたしかな力古墳群 吉田美佐子 雪虫のとべるに逢へり古き門 加藤楸邨 雪虫や大股に来る郵便夫 赤塚五行 永らへて雪虫を身にまとふかな 朔多 恭 雪虫に生殖の意を見つゝ臥す 軽部烏頭子 過褒なる雪蟲抱へきれぬほど 佐々木六戈 ※過褒 かほう／褒(ほ)めすぎ 雪蟲に川の底まで透けてをり 佐々木六戈 雪虫のゆらゆら肩を越えにけり 臼田亜浪 雪虫や牛には温きもの啖(くら)はせ 榎本冬一郎 雪虫や日を重ねつつ筆不精 川崎展宏 窖ちかく雪虫まふやのべおくり 飯田蛇笏 ※ 窖 あな／土葬の穴底か？ 雪虫の飛ぶ廟前の木立かな 河島碧梧桐 雪虫の飛ぶ木洩日に木洩日に 嶋田摩耶子 村病むに似て雪虫の夥(おびただ)し 当摩八千代 雪虫や半眼にして見ゆるもの 矢島久栄 雪虫や俄かに君が他界せし 瀧井孝作 雪虫の恋一寸にして一途 鷹羽狩行 婚終へて雪渓に死す雪虫か 堀口星眠 雪虫の輪舞ボッカを慰めよ 堀口星眠 [指定ﾍﾟｰｼﾞを開く] ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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