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◆ 隙間風 ◆
隙間風父の背なより来るものを 行方克巳
すぐ寝つく母いとほしや隙間風 清崎敏郎
糸繰るや雪気もまじる隙間風 能村登四郎
国宝の寺おほらかに隙間風 鷹羽狩行
隙間風兄妹に母の文異ふ 石田波郷
御座の間の百万石の隙間風 吉本香歩
かたくなな心に隙間風の吹く 山田敏子
隙間風パン焼く香り運び来る 田中雅子
隙間風終生借家びととして 石塚友二
かみ合はぬ話に黙す隙間風 加藤武夫
長病みの夫の背中に隙間風 浅見まき子
隙間風来る卓上に林檎一つ 山口青邨
時々にふりかへるなり隙間風 高浜虚子
コンセント大工に貸して隙間風 塩川祐子
さりげなく語りゐる座の隙間風 高野彩里
隙間風屏風の山河からも来る 鷹羽狩行
隙間風その数条を熟知せり 相生垣瓜人
隙間風寝煙草煙顔に来る 米澤吾 亦 紅
隙間風さへ団欒をさまたげず 斎藤道子
蒸しものの細めの瓦斯や隙間風 宍戸富美子
隙間風負ふべきあらぬ身の負ひ目 石塚友二
隙間風灰を熾(おこ)して通りけり 佐々木六戈
夢にまで入る隙間風夫婦たり 大沢初代
寸分の隙をうかがふ隙間風 富安風生
隙間風次第しだいに四面楚歌 佐土井智津子
灯を消して雪の匂ひの隙間風 堀口星眠
ほのゆるゝ閨(ねま)のとばりは隙間風 杉田久女
枕上来てやる度に隙間風 中村汀女
人の世に出遅れてゐる隙間風 松山足羽
この店のここに坐れば隙間風 辻 桃子
二階より隙間風来る母の死後 中尾寿美子
産小屋の十坪に足らぬ隙間風 斉藤夏風
隙間風とも争はずなりにけり 藤田湘子
屑籠を楯なる書屋隙間風 井沢正江
隙間風せんなし火鉢守る父子 小原菁々子
 隙間風 Sukimakaze 呼 フ び ク 隙 哭 ロ 間 く ウ 風 夜 が 蝉 半 海 の |
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