3/9ﾍﾟｰｼﾞ目 ◆ 寒の入 ① ◆ 鮭鱒の孵化のさかりや寒の入 河東碧梧桐 ▲俳句画像jpg 黒松の幹の粗さや寒に入る 森 澄雄 雪山に水ほとばしる寒の入り 飯田蛇笏 山はみな無愛想なり寒の入り 小林一歩 風よりも透けば死すべし寒入日 仙田洋子 高々と微塵の鳥や寒の入り 石田波郷 鳶の輪の中に昼月寒に入る 西村公鳳 鉄瓶の磨き込まれて寒に入る 堀野 省 鍋の中にやはらかきもの寒に入る 桂 信子 降るやうな星空村は寒に入る 長谷川素逝 隆起せる傷跡撫づる寒の入 高澤良一 終着の駅閑散と寒の入 谷村喜美子 結願の灯明太く寒に入る 山口幸代 老幹の傷そのままに寒に入る 小林康治 焚火して林しづかに寒の入 水原秋桜子 父母とひとつの火桶寒に入る 相生垣瓜人 釜の湯気巴にまうて寒の入 原 石鼎 ▲俳句画像jpg 父看とる日を重ねつゝ寒に入る 阪田ひで 牛乳うまし寒の入日の雲染めて 太田鴻村 百はある鶏卵みがく寒の入 及川孤雨 橙の梢にのこり寒に入る 田中冬二 武蔵野の欅総立ち寒の入 椎橋清翠 水槽に貝貼り付きて寒に入る 田口一穂 浅草や鳩も雀も寒の入り 窪田桂堂 漁火の中に暗き火寒に入る 伊藤京子 日本海もんどり打つて寒に入る 金三路 暁の星の輝き寒に入る 高木晴子 月花の愚に針立てん寒の入り 松尾芭蕉 校正の赤きペンもつ寒の入 山口青邨 梅の木はいまだ影の木寒に入る 鷲谷七菜子 山山の性根あらはす寒の入り 中川宋淵 己が尾を見てもどる鯉寒に入る 三橋敏雄 干すものもなくあたたかき寒の入 菖蒲あや 黒ずんだ楽屋茶碗や寒の入り 今泉貞鳳 竹一本水に映りて寒に入る 桂 信子 ▲俳句画像jpg ◆ 寒の入 ② ◆ 俄雪凱歌のごとく寒に入る 百合山羽公 ▲俳句画像jpg うめぼしの肉うつくしき寒の入 星野麦丘人 きびきびと万物寒に入りにけり 富安風生 きびきびと応ふる寒に入りにけり 松本たかし きんぴらの歯応へ寒に入りにけり 橋本榮治 ころげ落つ亡母の持薬や寒の入り 鈴木勝夫 とぼしては油惜しむや寒の入 石田波郷 なめらかに指先たもち寒の入り 井上 雪 はなやかに水夕栄えて寒に入る 大谷碧雲居 ぱちぱちと胡麻炒ってゐる寒の入 村越化石 ぴしぴしと星座整ふ寒の入 大野徳樹 ませがきに落早やの日や寒の入 吉岡禅寺洞 ※ませがき【籬垣】まがき【籬】 わが露路でつまづく寒に入りにけり 菖蒲あや マーラーの曲にちからや寒に入る 林 翔 中年のどれも足早や寒に入る 宮尾苔水 亡き師ともたたかふこころ寒の入 藤田湘子 寒入日大師の鳩の舞ふ行方 高木晴子 ▲俳句画像jpg 人偸むごとく酔ひをり寒の入り 小林康治 ※偸む 盗む 刈込に隠れし石も寒の入 大島民郎 夕焼に野川が染みつ寒の入 水原秋桜子 夢に芹摘み溜めており寒に入る 古澤太穂 天気図の縦縞緊まる寒の入 吉澤卯一 ※緊まる しまる 締まる 奉る燭の穂固し寒に入る 毛塚静枝 子へ送る荷の結び目も寒に入る 広瀬直人 室咲きに氷水(ひみず)を重ぬ寒の入り 深谷雄大 寒に入るこころにかるし夜着の裾 卓袋 ※貝増 卓袋（たくたい）芭蕉門下 寒に入る石を掴みて一樹根 加藤楸邨 寒に入る胆抜かれたる腹が鳴り 猿橋統流子 寒に入る蝸牛らも石の類 鷹羽狩行 寒に入る鷺の真白き恋を見て 堀口星眠 寒の入り心あやふき折には旅 中村草田男 寒の入人の訃のまた駆け去れり 中山純子 寒入りし琥珀の空に未来あり 阿波野青畝 寒入りの井戸水ぬくしみとり妻 今泉式女 夕日向のみの犬小屋寒の入 香西照雄 ▲俳句画像jpg [指定ﾍﾟｰｼﾞを開く] ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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