5/8ﾍﾟｰｼﾞ目 ◆ 古暦 ◆ …ふるごよみ 憂きことの幾つもありし古暦 小野田八重子 嫁がせし其の日のままの古暦 谷田チエ子 モナリザにいたづらのひげ古暦 有馬朗人 買ひ物のメモに埋りし古暦 蕪木啓子 古暦ふり返るのもまた楽し 三宅李佳 書き込みのふと捨てがたく古暦 梅本安則 入院のその日のままや古暦 飯村周子 古暦余白なきまで遊びたる 橋本榮治 古暦焚く束の間の焔なりけり 菊地久城 逢ひし日のこの古暦捨てられず 稲垣きくの 大安の日を余しけり古暦 高浜虚子 在りし日のままの書斎の古暦 大久保白村 古暦水はくらきを流れけり 久保田万太郎 古暦丸めて犬の頭を叩く 岸本尚毅 餅を切る包丁鈍し古暦 夏目漱石 古暦母には残す夜の暇 中村汀女 隠しごと巻いてしまへり古暦 田宮真智子 酔うて寝た日のかずかずや古暦 高井几菫(きとう) (1741-1789) 古暦水はくらきを流れけり 久保田万太郎 (1889-1963) 何となく奈良なつかしや古暦 正岡子規 (1867-1903) 格言にうなづきめくる古暦 田島竹四 この年の夢を残して古暦 吉屋信子 古暦やつれて月日とどめけり 吉屋信子 毛皮敷く上に落ちたり古暦 辻 桃子 燃えしぶる古暦なり突つきけり 辻 桃子 ◆ 初詣 ◆ 願ふより謝すこと多き初詣 千原叡子 恵方にはかかはりもなき初詣 岡安仁義 磯の鵜を車窓にかぞへ初詣 中山純子 荒汐のとりまく島へ初詣 鈴木真砂女 日本がここに集る初詣 山口誓子 山道の掃いてありたる初詣 富安風生 子を抱いて石段高し初詣 星野立子 いきほひのある絵馬を買ふ初詣 住田歌子 蛸焼きの紅に日のさす初詣 沢木欣一 くれなゐの袂かかへる初詣 石原八束 白鷺に逢ひし一事や初詣 原コウ子 初詣パートの巫女の幼顔 浦野芙美 新句帳一句を得たり初詣 野村喜舟 手を合はす姿勢押さるる初詣 塙 きく 仲見世はあとの楽しみ初詣 今井つる女 石段の変らぬ堅さ初詣で 桂 信子 生涯をこの地と決めて初詣 水沢源治 初詣賽銭箱の大きさよ 千才治子 水掛けて消ゆる罪あり初詣 江川由紀子 初詣幾千人の私語の中 正木海彦 初詣なづなの畦を踏みゆけり 谷口ゆり女 人踏まぬ雪道えらび初詣 白岩てい子 初詣神鶏凜と歩みをり 大海みつ子 渾身の鐘ひとつつき初詣 若木 睦 ひよどりの山彦の澄む初詣 田村木国 我が生の盛衰流転初詣 上野 泰 藪いでて又畦をゆく初詣 岸風三楼 山迫り来て飛ぶ雪や初詣 木村蕪城 辻といふ道の不思議を初詣 鷹羽狩行 飛梅に傘ひしめくや初詣 白水郎 ひよんの実を拾ひしが幸初詣 田中英子 凍りたる湖わたり来ぬ初詣 田村了咲 えりあしのましろき妻と初詣 日野草城 (1901-56) 履きそめのかたき鼻緒や初詣 吉屋信子 初詣マスク清らにかけにけり 吉屋信子 初詣あかつきくらき男下駄 石橋秀野 降りやみし薄雪惜み初詣 後藤夜半 初詣一度もせずに老いにけり 山田みづえ [指定ﾍﾟｰｼﾞを開く] ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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