私の好きな季語と『私の俳句』

【無縁なる… (季語) 月見草】
無縁なる… (季語) 月見草



無縁なる看とりにしぼみ月見草



人の死を医学的に看とることが仕事の医師や看護師それに看護助手たちの深夜勤務を入院患者として観る機会が必ずあるものだ。
私の場合は、30代でまだ人間観察をする余裕もある入院時だったが…。

8人部屋の入り口に酸素ボンベが据えられて看護師が病室とナースセンターを忙しく行き来し始めると誰かが死を受け入れ始めた時で、ベッドの仕切りカーテンが煌々と照らされて医師がペンライトを点し瞳孔を診る。

その後、当直の看護助手が入り着替えをさせて病室のひとつの灯りが消され総婦長に連絡される。

総婦長が葬儀屋に連絡し、ご遺体に付き添って霊安室に向かう階段でバッタリ出会うことがあった。
最初は事情も知らず挨拶するとカルテを持って少し微笑んではいたが…2回3回と同じシーンが続き無言ですれ違うようになった。
霊安室まで付き添うご遺族と会うことは一度も無かった。



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