読み切り・短編

もんすたぁ☆ぱにっく
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――夜は魔物が蠢く時間。

だから早く、おやすみなさい。

夜更かしして家に明かりを灯していると、ほら…

魔物が目を光らせて、こちらを見ていますよ?――


「っしゃあ!」

時刻は午前二時。
そんな夜中に不釣り合いな声が響く。

「うー…祐輔うるせぇよ、近所迷惑だろー?」
「大丈夫だってミヤ、何より今日は家族もいないしな♪」

ゲームのコントローラー片手に平気平気、と笑って手を振るのはこの家に住む高校生、藤倉祐輔。
そして家族が旅行中でいないからと家に招かれた親友、虎島雅はそんな彼を窘めた。

「にしてもお前意外にゲーム弱いのな。アクションとかレースとかカラダ一緒に動いちゃってるし…面白ぇ♪」
「う、うるせぇな!…なんでか動いちまうんだよっ」

親の居ぬ間の徹夜ゲーム。
風もないのにカーテンがひらりと踊った、そんな時に…

"それ"は現れた。

『ふはははは! 見つけたぞ、夜更かししている悪い子を!!』
「「!?」」

夜の静寂を破る、突然の声。
振り返ればそれは窓の外からだった。

「嘘だろ、ここ二階…」

―ドンドンドンドン!―

『ちょ、鍵かかってるとか何、開かないし!』
「「……。」」

祐輔は「戸締まりはきちんとしなさい」という親の言いつけを守り、あと夜中に騒ぐ事も考えて窓は閉め、施錠もしっかりしていた。
よってせっかく登場した何者かも締め出しを食らう羽目に。

『おいコラ開けろ! 開〜け〜て〜!!』
「そう言われて誰が開けるかよ、この不審者…」

祐輔が窓に近付きカーテンを開けると、その不審者と目が合う。
"彼"は予想外の展開に半泣きだった。

『ひっく、えぐっ…開けてくれよぅ…』

その、恥も外聞も捨てた泣き顔に思わず…

サッ、とカーテンを閉める祐輔。

『〜〜っ!!』
「さ、ゲームの続きやるぞミヤ!」
(お、鬼だ…)

その容赦ない仕打ちに、思わず雅も不審者に同情してしまうのだった。
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