『ときめき』のお部屋

B〜船出〜
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「協会の者だ。『剣と魔法の大陸』へ行きたいのだが…」
レンは身分証らしきカードを出すと、船着場の入口にいる男に見せる。
「え、協会って、君…」
驚きと疑いの目で、男はじろじろと彼女を見つめる。
「こんなちっちゃいボウヤが?」
いきなり禁句のニ連コンボ。
「ボウヤじゃない、女だっ!! それにこう見えても16歳なんだぞっ!?」
そうやってムキになる所がたまらなく可愛いと、約二名は思っていたりするのだが、彼女はその事に気付いていない。
「レン殿…超絶らぶりぃでゴザル…」
《ああ、ボクのエンジェル…》
「…? 何してる、もう出港だそうだぞ。」
「はいはーい、今行くでゴザルよ〜♪」
レンとシュウ(+α)は、いそいそと船に乗り込んだ。
「知らないって、幸せですよね…」
とは、セツナの一言。
まさに、知らぬが仏、というやつだ。
レン達が乗って間もなく、船はゆっくりと動き出した。

どこまでも澄みきった、青く広がる空と海。
旅立ちに相応しい、爽やかな風景だ。
「潮風が気持ちいい…これでようやく、『剣と魔法の大陸』へ行けるのだな、シュウ……ん? おい、シュウ!?」
振り返るとそこに彼の姿はない。おそるおそる目線を落としてみると…
「はうぅ〜…ぎもぢわるいでゴザルぅ〜…」
ぐったりと横たわる船酔い忍者。
「揺れて揺れてゆ〜らゆ〜ら…ああ、拙者こんなの初めてでゴザルよ…」
「ってこら、島から来たのだろう? その時は船ではなかったのか!?」
「板切れにつかまって泳いで来たでゴザル。」
その様子を思い浮かべてみる。
大海原、見渡す限り蒼の世界。
そのど真ん中で板切れに、ビート板よろしくつかまってぱちゃぱちゃと泳ぐ忍者の姿を…
「…いくら島が近いとはいえ、かなりの強者だな、貴様。」
「目の前がぐるぐるぅ〜でゴザル…」
「まったく、すごいのかそうでないのか、ですね。」
心底呆れるレンとセツナであった。
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