『竜剣』のお部屋

3〜迷い子と鈴の音〜
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「うわぁ…!!」
雫姫は目を輝かせ、感嘆の声を洩らした。
ずっと遺跡で眠っていた彼女にとって、街で見るものは目新しさに満ち溢れていた。
「蒼真! あれはなんでしょうか?」
そう騒いでは、興味の対象にまっしぐら。
「あーあ、ガキじゃねーんだから…」
はぁ、と溜息をつき、呆れ顔の蒼真。
だが…
「蒼真、早く早く!」
「わぁーったよ。」
仕方ねえな、と笑う。
すっかり、彼女の保護者である。



―――かつて、『魔剣』と呼ばれていた自分。

知っていたものは、どこまでも続く孤独の時と…

人の欲望。

そして…


数多の、死。



それが、全てだった。

「…あれ?」

気がつけば、人込みの中にひとり。
辺りを見回しても、蒼真の姿はなく…
「蒼真?」
右も左も、知らない人だらけ。
スーッと、雫姫の顔から血の気が引いていく。
「ど、どうしましょう…」
彼女は今、迷子になっていた。
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