『竜剣』のお部屋

2〜永遠を歌う者〜
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かつて、この世界には竜という生き物がいた。
高い知能と生命力、そして不思議な力…
永遠に近い命を持つとされていたが、この地上から彼らの姿は消えてしまった。


その生き血を飲めば、不老不死になれるなどという、そんな根拠のない噂によって。


そんな話も、竜という生き物も、今となっては遠い伝説の彼方である。



「やれやれ、やっとお前の服が買えたな。」
「はいっ! ありがとうございます!!」
蒼真の言葉に、雫姫は満面の笑みで頷く。
だが蒼真は、
「しっかし、服屋の店員、俺をまるで怪しい奴でも見るかのようにじろじろと…」
思い出し、苦々しく舌打ちをする。
遺跡で『魔剣』…雫姫と出会った時、彼女は服というものを身に着けていなかった。
町に着いてまず最初にしたのが、彼女の服を買い揃える事だったのだが…
マント一枚羽織っただけの少女を連れた青年は、ハッキリ言って怪しさ爆発だった。
「かと言って、俺にゃ服の事なんぞわからんしな…」
そのため店員に服の組み合わせを頼んだのだが、時折痛い視線を感じながらの買い物となった。
よっぽど嫌な思いをしたらしく、いつまでも引き摺っていた蒼真だったが、
「でも、すごく嬉しいです!」
彼を見上げる、花の咲くような笑顔に。
(…ま、いっか。)
なんて、なんとなくそう思ったのであった。
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