『竜剣』のお部屋

了〜そして物語は続く〜
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――それは、竜の気まぐれによって始まった縁。

不老不死になった青年は、彷徨った果てに魔剣の少女と出会った。

穏やかな生活を望む彼等を、運命は放っておいてくれなくて…

「ったく…結局アイツには逃げられちまったな。」
「…はい。これで終われば良いのですが…」

サァ、と風が吹き抜ける。

人の欲は、果てない。

それは彼等もよく知るところであった。

「ああいうヤツはまた同じ事を繰り返す…死んでも治らねぇ、って感じだ。」

苦虫を噛み潰したような顔で青年は呟く。
だが少女はそれに首を振った。

「……死んだら、治りません。」
「雫姫?」

黒曜の瞳は深い哀しみを湛えて青年を見上げる。

「私は、もう人が死ぬのを見たくないんです。けどそんな事を言っていたら、蒼真がケガしてしまう…」
「…それはつまりアレか、俺にヤツを殺さず俺自身も傷つくなと?」
「…はい。」

青年はやれやれと息を吐くと、少女の頭に手を置いた。

「難しい注文だな。」
「す、すみません…」

小さな身体をさらに縮こまらせて、少女は俯いた。
が、青年はその頭を優しく撫でる。

「…しょうがねぇな。」
「蒼真?」
「どこまで出来るかわからないが…善処くらいはしてやる。だから…」

青年は困ったような顔をして、少女に告げる。

「…泣くな。苦手なんだよ…」
「蒼真…っ」

その表情は初めて会った頃のそれより、優しくやわらかくて。

「……ぜ、ぜんしょします…?」
「ああうん、使い方は間違っちゃいないけどな…」

これから先も、また変わり続けていくのだろう。
変化を諦めた、時の流れに取り残された筈の青年に確かに訪れた変化。

それを悪くないと思い、心地良く感じる自分がいる。

「雫姫、…ありがとな。」
「ほぇ?」

唐突に礼を告げれば少女はきょとんとした顔をしていたが、

「はい! 蒼真も、ありがとうございます♪」

屈託のない、お日様のような笑顔でそれに応えた。



彼等の物語はまだ、ほんの始まったばかり。――



了・おしまい。
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