『竜剣』のお部屋

24〜ただいま〜
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――不老不死。

聞く人が聞いたら喉から手が出る程欲しがりそうな、夢のような力。

それを手に入れたのは、ただ刹那の『生』を欲した青年だった。

彼は望まずして手に入れた力によって時の流れに取り残され、長きにわたり苦しんだ。

ひとところにとどまれず、人との関わりももてず、まるで生というものから外れてしまったような感覚の中ただ一人彷徨い続けて。

そうして彼は『死』を強く望むようになったのだ。――



蒼真達が宿に帰り着いたのは、朝もだいぶ明るくなった頃だった。
グレアスと、確かそのお守り代わりにレオルの二人を置いてきた筈の部屋は、何故か人数が増えてぎゅうぎゅう詰めになっていて…
「た…ただいま…」
「おかえりなさい。」
そう言ってぎろりと睨みつけてきたのは、いつの間にか旅から帰って来ていた地の竜帝ラキア。
水の竜帝ファナンも、無言だが同じくアーリュオンに咎めるような視線を送っていた。
「ラキア、ファナン、なんで…」
「オイラ達もいるよ〜」
「レクスにエルまで!?…せ、勢揃いじゃねーか…」
行方知れずだった光と闇の竜帝も集まって、狭い部屋は一杯になった。
「嫌な予感がして戻ってきてみれば…アンタなにドジやってんのよ!」
ラキアがずい、とアーリュオンに詰め寄る。
菫色の瞳は責めるというより心配の色を強く映していた。
「う…わ、悪い…」
たじろぐアーリュオンはその後ろからひょこっと顔を出したコハクに驚いた。
「ってお前、昴…!?」
「旅芸人のコハク君よ。ついて行くってきかなくて。」
「蒼真兄ちゃん、また会えたね♪」
そう言って見せた人懐こい笑顔は敵として対峙した昴とは顔はそっくりでも明らかに違う。
さらに後ろでは見慣れない青年がラキアの側をちょろちょろしていたり、レオルが居場所なさそうに縮こまっていたり…
「…ああもう、何がなんだか…」
蒼真は思わず頭を抱えるのだった。
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