『竜剣』のお部屋

22〜願い〜
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――長い長い間、私は独りぼっちでした。

暗く冷たい遺跡…そんな感覚は剣だった頃にはありませんでしたが、心はいつもぽっかりと穴が開いたような…今思えばそれが"寂しい"という感情だったのかもしれません。

たまにやって来る人は魔剣の力だけを求めて私の前に立ち、そして魔剣を手にした途端その力に呑まれ、命を散らしてしまい……

私はまた取り残されて、独りぼっち。

長い間、その繰り返しでした。――



連れ去られたアーリュオンを救い出すため宿を発った蒼真と雫姫。
彼等がいなくなった部屋に残る人影は…
「アーリュオン…俺が腑甲斐無いばかりに…」
留守番させられ、ひたすら落ち込むグレアス。
自分が行ったところで、『竜封石』を出され無力化されたらアーリュオンを助けるどころか逆に足手纏いになってしまう。
だから蒼真に託して自分は留守番という事になったのだが、わかっていても歯がゆいのである。
(今すぐ飛んで行って、連中をカケラも残さず焼き尽くしてしまいたい…)
なんて物騒な考えが過ぎるくらい。
というか実際に蒼真達が出発する前に何回か実行しかけて止められている。
「俺が行ったら、アーリュオンを助けられなくなる。」
そう自分に言い聞かせるのも何度目になるのやら。
…と、突然部屋のドアがノックもなしに開けられた。
「蒼真、今日こそオレとしょうっ…ぶ?」
いつものように突撃しに来たレオルは、いつもと違う光景に首を傾げた。
「あれ、蒼真は?…それにオッサン、どっかで会ったような…」
(……オッサン?)
ぴく、とグレアスが反応する。
だがレオルの事を思い出した訳ではないようで、じっと彼を睨んでいる。
「あー、そっか。確か前の町で……けどあの時はもう一人いたよな? 眼帯つけたチビが。」
「…!」
レオルはグレアスの一番の地雷を思いっきり踏んづけた。
事情を知らない彼がそんな事に気付く訳がないが。
「………アーリュオン…」
「へ? うわ、なんだよオッサン!?」
いきなり落ち込み出したグレアスに慌てるレオル。
それから落ち着くまで、またしばらくかかったという。
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