『竜剣』のお部屋

20〜竜封石〜
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禁忌は何故、禁忌と呼ばれるのか。

危険なモノに敢えて触れるのは、それが甘美な誘惑をもっているから。

どれだけ危険を提示しても、禁忌に触れる者は現れる。
そしてその魔力にとり憑かれ、全てを狂わせていく。

それでも、人は甘い味を忘れる事は出来ない。


過ちは、繰り返されるばかりなのか。


―――――

かつて栄えた大国も、今は瓦礫に埋もれて忘却の彼方。
それどころか、最近まで心霊スポットなどと呼ばれていた古城跡の地下深く。
誰もいない筈のそこに、カツンコツンと靴音が響く。
「ふむ…地下も酷い有様だな。」
ランプで辺りを確認しながら、男は呟いた。
「魔術で栄えた国と聞くが、何か研究でもしていたのか…?」
整理する者もとうの昔にいなくなり、荒れ放題…とはいえ、地上に晒されていないため幾分かマシという状態の部屋で男は机の上の本を手に取る。
(あの時、屋敷でまみえたのは…あれは、竜。)
書物にのみ語られる存在だと思っていた、伝説の生き物。
「だが、あの少女は…?」
竜をおびき寄せるための餌として捕らえてきた、黒髪の少女。
『竜封石』により身動きを封じられ危機に陥った竜の少年を前に、何らかの力を垣間見せたように思えたが…
「ラマネは知らずに連れて来たようだが、あの少女ももしかすると…」
男の口許が、歪んだ笑みを形作る。
「なかなかの拾い物かもしれんな、…なぁ?」
そう言うと、彼は後ろを振り返った。
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