1/4ページ目 ―――長い長い時が過ぎた。 どのくらいかは、わからない。 もう自分が何歳か数えるのも馬鹿馬鹿しくなって、やめてしまった。 周りがどんなに変わっても、変わらない…変わる事のない自分。 時を忘れてしまったかのように、老いる事もなく、ただ気の遠くなるような永い間、取り残されてしまったかのように… それは、果たして生きていると言えるのだろうか? 決して人を寄せ付けない、険しい道の最果てにひっそりと佇む遺跡の中を、青年…蒼真はひとり進んでいた。 風の噂に聞いた、『魔剣』の存在を求めて。 「ここか…」 その一振りに、強大な力を宿すとされる魔剣。 最後にこれを手にしたという者は、遠い昔に命を落とした。 『魔剣』自身の力によって。 …それは、到底人の手には扱えない代物。 欲望のままに手にした者達には例外なく死がもたらされ、使い手のないまま放置された剣は、長い時の中で人々の記憶から薄れ… ある時は古い文献から。 またある時はバーの客達の冗談混じりの噂から。 幾つもの話に従って探してみても、剣は見つからなかった。 最後に聞いたのは、道端で歌っていた男から。 往来でギターをかき鳴らし、やかましい事この上なかったのだが、どこか引っ掛かる、あの歌声。 記憶の中の彼は蒼真に気付くと、ニヤリと笑みを見せた。 「…変な奴だったな…って、そんな事はどうでもいいか。」 そうまでして青年が求めるものは、魔剣の力などではない。 魔剣によってもたらされる、死。 あるかどうかすらも怪しい物の力など、正直半信半疑であった。 だが… 「もし、これで死ぬ事ができたら…?」 蒼真は不敵に笑う。 「…面白ぇじゃねーか。殺せるモノなら殺してみろよ。」 その話が本当なら、この永くどうでもいい時間から解き放たれる。 嘘だったら、またダラダラと生き続けていくだけのこと。 それだけだった。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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