『竜剣』のお部屋

17〜大地の母〜
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彼女の足は、いつも気まぐれ。

楽しそうに大地が歌えば、その方向へ。

土の嘆きが聞こえれば、今度はそちらへ。

何者にも縛られず、心のままに西へ東へ。


さてさて、今日の行き先は…?



――森がざわめく声を聞いて、彼女…正確には『彼』なのだが、まぁそこは敢えて。
薄紅の髪の美女、地の竜帝ラキアはそこに向かっていた。
「なんだか嫌な感じがするわねぇ…」
「そうなんスか?…まぁ暗くて不気味だとは思いますけど。」
彼女(ツッコミ不要)の言葉に頷いたのは、付き従うように傍らを歩く長身の青年。
名前をガウルといい、それはラキアに名付けられたものだ。
「ま、それだけじゃないんだけど…アンタ、鈍感だものねぇ。」
「俺、石ッスから♪」
「そうだったわね…」
明るく笑い飛ばすガウルにラキアはがっくりと肩を落とす。
瞬間、ざわりと木々が騒いだ。

「うわぁぁぁっ!!」

一瞬後に聞こえた悲鳴に、二人は顔を見合わせる。
「何かしら?」
「行きましょう姐さん!」
と、ガウルの背中から明らかに人のモノではない翼が飛び出す。
「ちょっ…こらガウル!」
「先行ってますよ!!」
言うが早いかガウルは器用に木々を避けて、声のする方に飛び去った。
「………あの子ったら…隠しときなさいって言ったでしょうに…」
はぁ、と溜息をひとつ吐くと、ラキアもその後を追った。
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