『竜剣』のお部屋

16〜魔剣の見る夢〜
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夢、というものは大概寝る前に強く印象に残ったモノが出て来る。

稀に、突拍子もないような夢を見る事もあるが…

『がっこう?』
『そう。同じくらいの歳の子達が集まって、一緒に勉強する所だ。』

魔剣の見る夢も、人のそれと変わらないようで…

『勉強だけじゃない。友達も沢山出来て、楽しい所だぞ。』
『…がっこう……ともだち…』

蒼真から聞いた話を胸に、その日の雫姫は眠りについた。


―――

気がつくと雫姫は、見知らぬ場所にいた。
木造の広い部屋に沢山机があって、それと同じ数だけ人がいて。
彼等は皆、一同に同じ方向を向いて、何やら一生懸命ノートに書いている。
「はれ?…ここは、どこでしょう?」
「何言ってんだ雫姫ちゃん、居眠りでもしてたか?」
その声に顔を上げると、見覚えのある三つ編みに眼帯…風の竜帝アーリュオンが立っていた。
「アーリュオン…せんせい。」
そこで雫姫は、自分が学校にいて勉強していた事を思い出す。

夢というのは不思議で、自分の置かれた状況を納得させてしまう力を持つ。

今の雫姫は、竜剣学園の生徒だった。

そんな雫姫の様子を見て、アーリュオン先生は苦笑する。
「…ま、いいか。寝る子は育つって言うし…けど、次は気をつけろよ?」
額を指先でつつかれ、キョトンとする雫姫に生徒達から笑いが起こる。
「は…はい、すみません…」
雫姫は恥ずかしさに真っ赤になった顔を慌てて俯けた。
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