1/4ページ目 かつて、『魔剣』と呼ばれた剣。 強大過ぎる力故に長年持ち手を得る事なく、力の暴走によって命を落とした者は数知れず。 そんな魔剣は今、少女の姿となって生きている。 生まれ落ちたばかりの心は純粋で無垢。 そしてそれはあまりにも多くを…世界を知らない。 「蒼真! あれは何ですか?」 彼女のこの言葉も、何度目だろう。 黒曜の瞳をキラキラさせ、その視線の方向に出来た人だかりには、二人の少年少女がいた。 「なんでやねーん!」 「甘いぞ。カウンター激烈豪昇龍!」 はりせんを繰り出す少年に、すかさず少女は動きを合わせて攻撃を返す。 「ってオレつっこみなのに殴られグハァッ!?」 少年が倒れ込むと、周りで観ていた者達からドッと笑いが起こる。 二人が殴り合っているのに、何故。 少女…雫姫にはそれが不思議でしょうがないらしい。 「あぁ、あれは一種の芸だ。」 「芸?」 「ああやって笑いを取るんだよ。」 苦笑混じりに蒼真が説明すると、雫姫は考え込む。 "そういう物"として認識するには、少し時間がかかるようだ。 (こんなに懸命になって…) 永い間暗い遺跡の最奥部で、魔剣として深い闇を見つめてきた雫姫。 それが今、明るい陽の下でさまざまな物に触れ、いきいきとそれを取り入れている。 微笑ましい彼女の姿に、蒼真はどこかしんみりした気持ちにならずにはいられなかった。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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