『竜剣』のお部屋

11〜一筋の光〜
1/4ページ目

闇の中にたゆたう意識。

ただ、漠然と存在していただけだった頃の記憶。

『コレガ、伝説ノ魔剣…』

また、誰かが私を求める。

『ソノ強大ナチカラヲ、我ガ手ニ!』

私を手にしても、死んでしまうだけなのに…

私にはそれを止める事も、助ける事も出来ない。

それなのに…

どうして、力を求めるのでしょうか?

…破滅の、力を。

『泣くな!』

…え?

『俺は死んでねーだろ?』

魔剣に触れたというのに、命を落とす事もなく私に語りかける。

貴方は、一体…?




「雫姫!」
名前を呼ぶ声にうっすらと目を開ければ、鋭く強いまなざしとかち合った。
「蒼、真?」
「大丈夫か? なんだかうなされていたようだが…」
暗い夢の淵から引き戻された雫姫は、心配そうにこちらを覗き込む蒼真に微笑みかける。
「…大丈夫です、蒼真。」
それは儚くも哀しい笑みで。
(嘘をつくのが下手だな。)
彼女なりに気を遣って、強がっているのは明らかだったが、それを口にするのは蒼真には躊躇われた。
だから、せめて…
「朝メシ出来たから…お前の好きな卵焼き。」
「ほ、本当ですかっ!?」
それだけで、彼女の表情はパァッと輝く。
百年以上ずっとひとりで生きてきた蒼真は気がついたら料理の腕もかなりのものとなっていた。
彼の作る卵焼きは雫姫の好みにあわせて甘い味付け。これが彼女の大好物となった。
(ったく、さっきまであんなに辛そうな顔をしていたのに…)
そんな、案外単純で素直な一面に子犬を餌づけしているような気分だと口許を綻ばせる。
「わかったらほら、起きろ。」
「はいっ!」
せめて、少しでも多くの喜びを。
それが魔剣として永き時を過ごしてきた彼女に自分がしてやれる事だ。
そんな風に蒼真が思った瞬間。

「大変だ! 魔物が街に向かって…!!」

朝の静寂を破る声に、辺りの空気が一瞬にして張り詰めた。
「魔物だと!?」
「行ってみましょう、蒼真!」
二人は宿を飛び出し、声のする方へと向かった。
[指定ページを開く]

次n→ 

<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。




w友達に教えるw
[ホムペ作成][新着記事]
[編集]

無料ホームページ作成は@peps!
無料ホムペ素材も超充実ァ