『竜剣』のお部屋

序〜はじまりは竜の気まぐれ〜
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「いつまでも生きられたらいいのに」

…よくねぇよ。

「永遠の若さが欲しい」

案外つまらねぇぜ?

…それなのに。
他に欲しがる奴はたくさんいるのに、俺はそれを手に入れてしまった。


道端に、一人の青年が倒れている。
年の頃は17、18くらいだろうか。前途ある若者が行き倒れとは、全く世知辛い世の中だ。
「おーい、生きてる?」
だが返事はない。
青年の目はうつろで、何も映していない。
「こりゃ、放っとくと死ぬな。」
「…ない…」
微かに声が絞り出される。
「…しにたく…ない。」
それは、死の際に無意識に発せられた言葉。
だが、通りすがりの彼…竜の気持ちを動かすには充分な言葉だった。
「生きたいというのなら…」
何を思ったか竜は、自らの手で我が身を傷つけた。
「試して、みるか?」
血が、流れ出る。
そして青年の顎を引き寄せると、開いたままの口にその血を注ぎ込んだ。

…ゴクリ。

喉が音をたて、それを受け入れる。
「こっから先は運次第だ。俺はアーリュオン。聞こえているかどうかはわかんねーけど…ま、縁があったらまた会おうぜ。」
アーリュオンはそれだけ言い残すと、大きな翼を広げ、どこへともなく飛び去っていった。


…これが、ざっと百年かそこら昔の話。
青年は、今も生き続けている。
『不老不死』の力を…
竜の血を手に入れて。
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