1/4ページ目 第九話 「うっ…ここは…?」 暗く冷たい闇の中で、ラルゴは目を覚ました。 先刻までいた筈のフェルマータ城とは明らかに違う、見知らぬ場所。 といっても、辺りを見回した所で近くの物しか見えないのだが… 「えーと、俺は確か…」 考える時の癖で顎に手をあてようとするが、それは叶わなかった。 代わりにジャラ、と金属音が響く。 「……あれ?」 それは記憶を手繰り寄せるまでもなく、ラルゴに今の立場を自覚させた。 「部下を人質にとられて捕まった、でしょ?」 「!」 「いい眺めだよね、鎖に繋がれた王様なんてさ。」 顔を上げれば、山吹色の髪に氷の瞳をした青年が自分を見下ろしていた。 「部下なんて取るに足らない手駒だよ。そのために捕まるなんて、本当にお優しい。」 「あんたは、城を襲った…アルトとか言ったか?」 静かに燃える炎を宿す銀の瞳が鋭く睨み上げると、アルトは冷たい笑みでそれを返した。 ほぼ同時刻、クレッシェンドの城内では。 「うわぁぁぁんラルゴ王様が〜!!」 兵士Aことアルペジオは、城に辿り着くなりその場にいたリュートに泣きついた。 「うわ! ちょっ…落ち着け!!」 「ラ〜ル〜ゴ〜さまぁぁ!! …ぎゃふんっ!?」 「アル、やめろ! …御無礼をお許し下さい、リュート王子。」 相方…もとい、彼の相棒である兵士B、ベースはアルペジオを慌ててリュートから引き剥がすと、その場に跪いた。 「ラルゴ王に、何かあったのか?」 「……実は…」 説明しようとした瞬間、ベースの目から大粒の涙が零れた。 「お、お前まで!?」 「うっ…ラ、ラルゴ様は…俺達を、庇って…っ」 ただならぬ事態を匂わせる言葉に、リュートの顔が険しくなる。 と、そこに。 「ただいま〜」 「どうした、リュート?」 近場の魔物退治から帰った速水達が、ぞろぞろとやって来た。 「…丁度いい、お前達にも聞いてもらおう。」 リュートはそれを認めると、改めて兵士達の方へ向き直る。 「落ち着いて、ゆっくり話せ。フェルマータで何があったのかを…」 思わず息を呑む程の気品と威厳をもった目が、兵士に平常心を取り戻させる。 やがて、意を決した二人はゆっくりと口を開いた。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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