『ぶら☆夢』第二部屋

XXXI〜激しい闘いと書いて激闘〜
1/5ページ目

第三十一話


「また、行ってしまったのぅ…」
転移で速水達を送り届けたピッコロは、一仕事終えた疲労に溜息を吐いた。
「えぇ…ですが、ひとつ納得がいかない事があります。」
「何じゃ?」
砂漠の国スタッカートに咲く一輪の花、美しく可憐なビオラ姫は浮かない表情で虚空を見つめている。
「…何故、わたくしはお留守番なのでしょう?」
切なげに睫毛を伏せて呟いたのは、そんな一言。
「………は?」
「だっていかにもな決戦なのですよ!? 以前わたくしはピアニカとしっかりライバルフラグを立てました! なのに出番がないなんて…」
「お、落ち着け!…お前さん、そんな好戦的だったんか…」
いつになく早口でまくし立てるビオラを慌てて止めるピッコロ。
だが彼女の勢いは、そう簡単に制止出来るものではなかった。
「わたくしは出番の少なさに危機感を覚えているだけです! このままでは読者の皆様に忘れ去られて…」
「一国の王女がホイホイ決戦パーティについて行く訳がなかろう? おとなしく城でみんなの無事を祈っておれ。それはそれでヒロインっぽいじゃろ。」
ピッコロがもっともらしい言葉で説得を試みるが、やはりビオラは納得しない。
「今は戦うヒロインの時代ですよ、大賢者様…それにコーラス王女は戦いに行ったじゃないですか。」
「うぐ…」
コーラス王女…鈴原はピッコロの言う『一国の王女なのにホイホイ決戦パーティについて行く』ヒロインだ。
間違っても、城に残されてみんなの無事を祈る…なんて事にはならないだろう。
「忘れとった…あまりにも最強過ぎて…」
「わたくしに足りないのはそこなのでしょうか…いっそわたくしもアンダンテに修行をつけて貰った方が…」
旧知の格闘女王、最強の狼の名を聞いてピッコロはぎくりと硬直した。
「い、いや、それ以上強くなられたら正直もう……お前さんは今のままでいいんじゃ! みんな同じじゃ個性もなかろう?」
あの狼に弟子入りでもされたら恐ろしい事になるのは目に見えている。
それだけはと必死に阻止しようとする大賢者に王女はふぅ、と息を零す。
「…いいでしょう。もう戦いは始まってしまいましたし、今回はおとなしく待っています。」
「うむ、そうじゃそうじゃ! お前さんはこの世界の平和とみんなの無事を祈っておれ。お前さんの代わりに行った、あやつの事もな☆」
するとビオラはピッコロを見つめ、
「…そこが、一番納得いかないのです。」
そう言って、再び虚空を見つめた。
[指定ページを開く]

次n→ 

<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。




w友達に教えるw
[ホムペ作成][新着記事]
[編集]

無料ホームページ作成は@peps!
無料ホムペ素材も超充実ァ