1/5ページ目 第三十話 自分の事が『欲しい』と…確か彼女はそう言った。 そしてこの暗い闇の城に連れて来られた。 (何とか話し合えないだろうか、そう思って来たが…) 話し合うどころか、城に来てからというもの彼女…敵のリーダーと思しき女性、オルフェとは話をしてばかりだ。 「…で、その時にレガートの奴がだな…」 「あ、ああ、大変だったな…」 ただし、ラルゴが口を開くのは大抵相槌ばかりでやや一方的に聞き役をやらされているが。 「…オルフェ」 「なんだ?」 「俺を連れて来たのは、愚痴を聞いてもらうためなのか?」 そう問い掛ければ朱の瞳が不思議そうに瞬いた。 が、直後それは得意気な表情になって、 「そうだ。もうお前は私のモノだ。」 「えーと……それじゃあ俺を欲しいって言ったのは…?」 「だからもうなっているだろう、私のモノに。」 そんな事を言うオルフェにラルゴは頭を抱えた。 「…どうした?」 「いや…ちょっと、自分が馬鹿みたいに思えたというか、健全な男の子過ぎたというか…そうだよな、お前さんはそういう奴だよな…」 ぶつぶつと何やら呟くラルゴに見た目よりずっと幼い一面をもつオルフェは首を傾げる。 やはりラルゴが脱力した意味はわかっていないようだ。 「やれやれ…とりあえずすぐ戻るって書き置き残して来たし、大丈夫だろ。一応敵の本拠地だけど…」 などと苦笑するラルゴだったが、彼はまだ知らない。 一部始終を見ていた筈のとある一兵士が、主君を心配するあまり突っ走って肝心の書き置きを見落としていた事を… [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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