1/4ページ目 第十三話 暗き居城のあちこちで繰り広げられる戦い。 それは、囚われのラルゴの耳にもハッキリと届いた。 「…爆発音…?」 「思ったより行動が早いな…」 それまで愚痴モードだった支配者の面持ちが、それらしいモノに変わる。 「…なぁ、…」 呼び掛けようとして、ラルゴはふと彼女の名前をまだ知らない事に思い当たる。 だが、どうやら呼び掛けの意志は伝わったようで、朱色の瞳がチラリとこちらを見下ろした。 「なんだ?」 「お前さん達の目的は…俺達の世界を侵略して、どうするんだ?」 そう尋ねると、彼女は「そんな事か」と目を細めた。 「聞いてどうする?…敵の目的を知った所で、倒す以外に道はないだろう。」 その声は低く、冷たく。 彼女達にとって、最初から選択肢はひとつしかないようだ。 「さ、最初からそうと決めつけなくても…事情によっては、争わなくて済むかもしれないじゃないか?」 「…甘いな、ラルゴ王。」 あっさりと一蹴され、ラルゴは一瞬押し黙る。 だが、銀の瞳には強い光が宿ったまま。 「…確かに、甘いのかもしれない…一国の王として、時には非情な決断を下す事だって必要なのだろうな…」 けど、とラルゴは続ける。 「…それでも、全ての可能性が否定されないうちは…俺は諦めたくない。」 とても鎖に繋がれているとは思えない毅然とした、力強い声。 「俺一人の力じゃ無理な話でも、みんなで模索して、足掻いて…そうやって出来る道もあるんだ。」 「ラルゴ王…」 彼女はそんな道の存在など知らないのだろう。 朱の瞳はいつの間にかフェルマータ国王、ラルゴから視線を外せなくなっていた。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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