『ぶら☆夢』第二部屋

]〜闇の主〜
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第十話


闇に支配されたように暗く冷ややかな居城。
鎖で繋がれ囚われの身となった王の前に現れた、この城の主。
「アルト、下がれ。」
「…。」
アルトは無言で頷くと命じられるままに、ラルゴから離れ退出する。
全身黒ずくめで、フードに隠された顔はわからなかったが、その声は意外に高く、艶っぽい。
(女性…か?)
少しでも情報を得ようとするラルゴに歩み寄ると、主は彼を覗き見た。
「居心地はどうだ? ラルゴ王。」
「歓迎はありがたいが、俺も暇じゃなくてね……早いとこ帰らないと劇場版イケメンジャーの撮影日が…」
「イケメン…?」
耳慣れない単語にきょとんと小首を傾げる。
思わず出てしまった本音。
こんな時にも仕事の話か、とラルゴは自分の事ながら呆れて笑う。
「ああ、こっちの話だ。」
「変わり者だな、随分と。」
「あんたも」
フードの下で、主が訝しんだように見えた。
「美人さんなのに、なんで顔を隠すんだ? 勿体ない。」
「…!」
この時、ラルゴは気付いていなかった。
たった今、自分が万人の女性を虜にする必殺技『イケメンフラッシュ』(まぁようするに笑顔なんだが)を放っていた事に。
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