1/4ページ目 〜抜き打ち〜 ある日のこと。 それは、突然に始まった。 「今日は抜き打ち持ち物検査をするぞー」 無精髭もワイルドな担任が高らかに宣言すると、あちこちから不満の声があがった。 「げーっ!」 「いきなりー!?」 当たり前だが、予告したら抜き打ちの意味がない。 「はいはい静かに。タバコとかあったら没収だかんな〜」 実際それほどの物を持ち込んでいるような生徒はそういないのだが、こういう時に騒ぐのはお約束と言えよう。 「キャッ、見ないで★ 俺恥ずかしいよ先生★」 「な〜にが“キャッ”だ…」 生徒達も最初の方こそ文句を言っていたが、持ち物検査は終始和やかに行われた。 …と。 そんな中で一人、やたらこそこそとしているのが目に入った。 「ん、どうした速水?」 声がかかると、びくりと速水も反応する。 明らかに何かを隠しているようだった。 「お前、まさか…!?」 「わー!? 先生カンベンしてー!!」 普段は真面目でおとなしい彼が隠し持っていたモノとは… 「……はりせん?」 しかも手作り。 「お願いします没収しないで下さい! オレ、これがないとマジで困るんです!!」 もうダメだとばかりに錯乱し、はりせんを握り締めて懇願する速水。 「あー…えー………うん、わかった。没収しないから落ち着け?」 このクラスを受け持って初めて見た彼の姿に、担任はそうとしか言えなかった。 (速水って、こーいうヤツだったのか…) またひとつ、生徒の新たな一面を知った教師であった。 おしまい☆ [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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